内容説明
労働組合が雇用や企業業績に与えた影響。日本企業における労使関係と雇用調整行動をパネルデータに基づき実証的に分析する。
目次
第1章 本書の課題と問題意識
第2章 労使関係へのアプローチ―先行研究のサーベイから
第3章 労働組合と雇用調整
第4章 労使関係と赤字調整
第5章 情報共有と雇用調整
第6章 経営参加と人員整理
第7章 平成不況期における労働組合と雇用保障・新卒採用抑制・賃金カット
第8章 雇用保障と非正規雇用の増加
第9章 労働組合の生産性向上に対する効果
第10章 失われた10年と雇用調整速度の変化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねぎとろ
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地味だが割と重要な研究。日本における労働組合の役割(特に雇用を守るという点)についての実証分析。ほぼ理論通りの結果なのだが、雇用を守るという組合の役割が果たされていたことが示されたのは重要。さらにそうした強い雇用保障の結果としての新卒採用の縮小、非正規の拡大なども示されていて、今の時代に必要な分析がなされている。あまり議論に上がらないが、今度ジョブ型雇用が拡大した場合、ここで俎上に載せられた企業別組合という日本の特殊形態も厳しい対応を迫られるわけで、こうした実証研究はその際の議論の土台となるだろう。2023/02/19