出版社内容情報
【内容】
近代化→流動化→平等化、という因果関係はかつて誰もが疑わない社会変動の図式であった。しかし、今日では厳しい再検討を迫られており、「流動化」「平等化」さえ幻想であったという声も高い。こうした背景をふまえて、第1部では階層、教育、労働、移動という観点から、「流動化」の実態とその社会的帰結について議論する。第2部では社会格差にかかわる社会意識や文化の「流動化(ゆらぎ)」現象をとりあげ、その実態と社会的基盤について検討を加える。
【目次】
はしがき
序 章 流動化と社会格差(原 純輔)
1 「流動化」とは何か
2 産業化論と流動化
3 文化的再生産
4 本巻の構成
5 SSM調査について
第1部 流動化とその社会的帰結
第1章 産業化と階層流動性(原 純輔)
1 社会階層(階層)とは
2 戦後日本社会の変容――基礎的平等化の進展
3 変わらない階層流動性
4 階層社会のゆくえ
コラム 隣接領域との対話[歴史社会学]
歴史的視点からみる近代化・流動化・平等化(中村牧子)
社会の近代化に関する古典的な仮説
実際の移動からみる近代――そこから読みとれるもの
移動の見方からみる近代――構造的な流動性・平等性の初発条件
第2章 学歴主義と階層流動性(近藤博之)
1 高学歴化社会の定義
2 持続する教育機会の格差
3 教育による階層再生産
4 階層意識の変容
5 21世紀の階層社会
第3章 流動化する労働市場?(平田周一)
1 ゆれる日本の労働市場
2 日本の労働市場はユニークなのか
3 労働市場の流動化の根拠
4 世代的移動の推移
5 日本の労働市場は変化しているのか
第4章 地域間移動と地位達成(林 拓也)
1 地域活動に関わる2つの格差――地域間格差と社会階層
2 地域間人口移動の諸相と機会の地域間格差
3 移動と社会階層
4 移動をめぐる格差のゆくえ――就学移動の増加とその帰結
コラム 隣接領域との対話[教育社会学/教育政策科学]
教育機会の地域間格差と地域移動
――「地域移動」研究の課題についての一考察(秋永雄一)
社会階層間格差と地域間格差
教育費負担の地域間格差と地域移動
地域移動と地域構造の変動
第2部 ゆらぎとその社会的基盤
第5章 「成り上がり」文化の運命(米澤彰純)
1 グローバル化とマクドナルド化
2 文化を捉えるスタンスについて
3 世代内移動と文化
4 男性の職業と文化
5 文化における流動化と社会格差
第6章 「ただしさ」の拡散――彷徨する価値意識(斎藤友里子)
1 不公平感と第三者性
2 意識変化の背景
3 異質性と第三者性
4 「他者」の顕現と共同体
5 価値的寛容と共同性のゆらぎ
6 自由の陥穽・全体主義の陥穽
第7章 ジェンダー秩序の再編成と男女間格差(木村涼子)
1 ジェンダー秩序の再編成
2 ジェンダーに関する意識は流動化しているか
3 「実態」として男女間格差は解消されつつあるか
4 新たに見出された「格差」の領域
5 ジェンダー秩序のゆくえ
第8章 漂流する政治意識(小林久高)
1 新しい政治意識
2 自律的政治志向の構造と社会的基盤
3 政治参加と新しい意識
4 自立と連帯からみた政治参加の様態
5 依存からの離脱
コラム 隣接領域との対話[経済政策]
経済格差と政策課題の変遷(太田 清)
豊かな社会における経済格差――「貧困問題」から「高齢化問題」へ
高齢化の中での格差――格差の「拡大」は高齢化が原因
「構造改革」と格差――「経済格差」は構造改革の足かせとなるか
価値観、ライフスタイルの変化、多様化と格差
――格差をめぐる新たな視点
人名索引・事項索引
内容説明
近代化→流動化→平等化、という因果関係は、かつて誰もが疑わない社会変動の図式であった。しかし、今日では厳しい再検討を迫られており、「流動化」「平等化」さえ幻想であったという声も高い。こうした背景をふまえて、第1部では階層、教育、労働、移動という観点から、「流動化」の実態とその社会的帰結について議論する。第2部では、社会格差にかかわる社会意識や文化の「流動化(ゆらぎ)」現象をとりあげ、その実態と社会的基盤について検討を加える。
目次
第1部 流動化とその社会的帰結(産業化と階層流動性;学歴主義と階層流動性;流動化する労働市場?;地域間移動と地位達成)
第2部 ゆらぎとその社会的基盤(「成り上がり」文化の運命;「ただしさ」の拡散―彷徨する価値意識;ジェンダー秩序の再編成と男女間格差;漂流する政治意識)