出版社内容情報
【内容】
労働研究の通説である小池和男氏の知的熟練論は実証的根拠を有しているのだろうか。重要な文書資料とされているものは、小池氏によって創作されたものであり、さらに調査報告書は記述が矛盾しており、実証的価値がない。このような資料操作をしなければならばなかった理由は、知的熟練論が理論的に無理のある理論だからである。本書は、このような点を踏まえて小池氏の熟練論を実証的・理論的に吟味する。
【目次】
序 章 本書の課題と構成
1 本書の課題
2 小池熟練論の展開
3 小池熟練論への批判
4 本書の構成
知的熟練論の実証的根拠
第1章 資料の創作――仕事表
1 本章の課題
2 仕事表をめぐる疑問点
3 89年仕事表をめぐる疑問点の解明
4 91年A仕事表をめぐる疑問点の解明
5 仕事表の基本的性格
6 知的熟練論の理論と実証
第2章 資料の改変 ――「ある自動車メーカー」における賃金の決め方
1 本章の課題
2 「ある自動車メーカー」の賃金制度
3 自動車メーカーの賃金項目
4 日産自動車の賃金制度
5 「ある自動車メーカー」と日産自動車の比較
6 「ある自動車メーカー」の賃金制度の創作
7 賃金制度の改変
知的熟練論の再検討
第3章 知的熟練論と仕事表――仕事表創作の理論的必要性
1 本章の課題
2 キャリア熟練論から知的熟練論へ
3 完成版知的熟練論の論理
4 「公正に判定するしくみ」の不在
第4章 知的熟練論の理論的脆弱性
――『仕事の経済学』初版と第2版
1 本章の課題
2 知的熟練論における定義の不在
3 知的熟練論と専門工
4 知的熟練と生産性との関係
5 知的熟練の形成
6 企業内労働組合
7 知的熟練と賃金
8 非中核的労働者
9 脆弱な知的熟練論
第5章 小池熟練論はなぜ受容されたのか――受容と批判のあり方
1 本章の課題
2 小池説の受容
3 小池説はなぜ受容されたのか
4 研究史の問題
5 労働研究史と知的熟練論
第6章 熟練研究の現段階――「野村・小池」論争以後の実証研究
1 本章の課題
2 「野村・小池論争」
3 村松久良光「量産職場における知的熟練と統合・分離の傾向」
4 中村圭介『日本の職場と生産システム』
5 「論争」以後の実態調査
終 章 刷新版知的熟練論――小池和男他『もの造りの技能』
1 本章の課題
2 調査報告書『もの造りの技能』の実証的信頼性
3 刷新版知的熟練論の論理的破綻
4 小池熟練論の軌跡
引用文献
あとがき
人名索引/事項索引
内容説明
労働研究の通説である小池和男氏の知的熟練論は実証的根拠を有しているのだろうか。重要な文書資料とされているものは、小池氏によって創作されたものであり、さらに調査報告書は記述が矛盾しており、実証的価値がない。このような資料操作をしなければならなかった理由は、知的熟練論が理論的に無理のある理論だからである。本書は、このような点を踏まえて小池氏の熟練論を実証的・理論的に吟味する。
目次
1 知的熟練論の実証的根拠(資料の創作―仕事表;資料の改変―「ある自動車メーカー」における賃金の決め方)
2 知的熟練論の再検討(知的熟練論と仕事表―仕事表創作の理論的必要性;知的熟練論の理論的脆弱性―『仕事の経済学』初版と第2版;小池熟練論はなぜ受容されたのか―受容と批判のあり方;熟練研究の現段階―「野村・小池」論争以後の実証研究 ほか)
著者等紹介
野村正実[ノムラマサミ]
1948年静岡県生まれ。1971年横浜国立大学経済学部卒業。1976年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、東北大学大学院経済学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。