出版社内容情報
【内容】
生活化へむかって歩む芸術の現状を前にわれわれは新しい美的体験をもちうるのだろうか。活力に満ちた想像力が、われわれに残されているのだろうか。あらためて「芸術とはなにか」が問われなければならない。
【目次】
芸術は死んだか/ドイツ観念論美学のアクチュアリティ
1 思想史篇
古代への憧れ
-ヴィンケルマンとその影響-
美と崇高(カント)
-自然との和解を中心に-
シュライエルマッハーによる文学的解釈学の示唆
イロニーの精神・精神のイロニー
美の定め
-ヘーゲル美学の先入見-
反省と表象
-ノヴァーリスにおける「絶対なるもの」の探求と言語-
ドイツ観念論と音楽
2 現代展望篇
「美」の追放とその帰結
-芸術的想像力の復権-
芸術という病
-症候としてのドイツ観念論-
内容説明
芸術は死んだか。われわれは新しい美的体験をもちうるのだろうか。活力に満ちた想像力がわれわれに残されているのだろうか。美と芸術を思索し、その可能性を問う。
目次
芸術は死んだか・ドイツ観念論美学のアクチュアリティ
1 思想史篇(古代への憧れ―ヴィンケルマンとその影響;美と崇高〈カント〉―自然との和解を中心に;シュライエルマッハーによる文学的解釈学の示唆;イロニーの精神・精神のイロニー;美の定め―ヘーゲル美学の先入見;反省と表象―ノヴァーリスにおける「絶対なるもの」の探求と言語;ドイツ観念論と音楽)
2 現代展望篇(「美」の追放とその帰結―芸術的想像力の復権;芸術という病―症候としてのドイツ観念論)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bartleby
11
吉岡論文「芸術という病」が本叢書の企画自体に疑問を投げかけるもので示唆に富んでいる。議論前半では、ドイツ観念論が「生きた自然」を扱い、芸術論へと逃げ込んだことで科学との対話から切り離されてしまったことが問題として指摘され、後半では、現代においても観念論的な語り口(たとえば「○○の終焉」といった言説)が根強く残っていることがアドルノを例に説明されている。いずれも指摘も漠然と感じてきた違和感に輪郭を与えてくれるものだった。観念論を否定するにせよ復権を試みるにせよ重要な指摘であると思う。2016/04/08