身体の植民地化―19世紀インドの国家医療と流行病

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身体の植民地化―19世紀インドの国家医療と流行病

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  • サイズ A5判/ページ数 368p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622088516
  • NDC分類 498.022
  • Cコード C1022

出版社内容情報

本書はイギリス植民地下のインドにおける疫病対策と医療をテーマに、帝国の支配が現地の人々の「身体」にまで及んだことを論じるものである。天然痘、コレラ、ペストなどの流行病に対する西洋医療の介入の歴史をたどりながら、インド側の多様な反応の実態を明らかにし、その抵抗、順応、参加、取りこみというタマネギ状態の諸相をていねいにめくっていく。資料的にも思想史研究としても出色の書。

内容説明

19世紀から20世紀初頭にかけて、つぎつぎに襲来する天然痘、コレラ、ペスト。大英帝国の支配下、インドで展開する医療政策の分析をとおして、植民地権力と在地社会との関係性を明らかにする。

目次

序論
第1章 西洋の治療法と東洋の身体
第2章 植民地の飛び地―軍隊と監獄
第3章 天然痘―女神の身体
第4章 コレラ―無秩序としての病気
第5章 ペスト―身体にたいする攻撃
第6章 健康とヘゲモニー
結論

著者等紹介

アーノルド,デイヴィッド[アーノルド,デイヴィッド] [Arnold,David]
1946年ロンドン生まれ。1968年、エクセター大学卒。1973年、サセックス大学で博士号を取得。ロンドン大学SOAS教授、ウォーリック大学アジア・グローバル史教授などを歴任。現在、ウォーリック大学名誉教授。専門は南アジア史

見市雅俊[ミイチマサトシ]
1946年東京生まれ。京都大学人文科学研究所助手、和歌山大学経済学部助教授。中央大学文学部教授を歴任。専門はイギリス近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノルノル

6
原著1993年。植民地医療史研究の最重要古典がようやく邦訳。19世紀植民地支配下における健康と衛生のあり様を、イギリス人/インド人の権力関係を軸に病気と医療の展開を描く。医療行為と健康と病気に対する認識が、英印相互関係で変容し、英植民地支配の性格・野心を露わにする。3つの流行病(天然痘・コレラ・ペスト)をめぐる英印両者の対応・認識。東洋と西洋の医療伝統・実践、国家医療と公衆衛生の展開。言説としての病気、イデオロギーとしての医療の具体。植民地支配にあった社会における医療と病気の歴史の壮大なドラマ。訳も秀逸。2019/10/28

てつこ

0
英国によるインド統治を事例にした植民地医療史。帝国支配が在地民の身体管理にまで及ぶ過程を描く。英国人とインド人との間で展開していく権力関係の、一つの要因として病気と医療を捉える。西洋医療は初め、軍隊や囚人など限定された部分から展開された。天然痘、コレラ、ペストなどの流行対策にあたっては、英国が進めようとする「科学」である西洋医療と、慣習や信仰、民間医療を信頼する在地民の抵抗とがせめぎ合い、そこに文化的、政治的な境界線が生まれた。2022/01/30

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