出版社内容情報
「啓蒙」とは何か。カント以来続くこの壮大なテーマをめぐって、著者ジョナサン・イスラエルは「急進的啓蒙」という概念によって新たな展望を示そうとする。啓蒙の主流をなす穏健派と、少数派ながら近代民主主義の形成に貢献した急進派、および反啓蒙。これら三つの潮流が織りなす思想のドラマとして17世紀以降のヨーロッパの知的状況を解釈するイスラエルの議論は、近年、大きな注目と反響、そして批判を呼び起こしている。
みずからのインテレクチュアル・ヒストリーを「論争に焦点を当てる方法論」にもとづくものとし、大西洋の両岸で繰り広げられた「啓蒙」と呼ばれる思想運動のうちに、普遍的意義を持つとされる価値観の形成過程を見いだそうとする立場、現実世界を変革するうえで「思想」が及ぼした影響力を重視する歴史観、そしてポストモダニズムを批判しながら特定の価値の「普遍性」を主張する姿勢。こうした点もまた、論争の的となった。
当時の思想書だけでなく、パンフレットや雑誌、新聞などの膨大な一次史料の精読をもとに、啓蒙「三部作」とされる一連の大著でつぎつぎと展開される議論を簡潔に示した本書は、歴史家イスラエルによる啓蒙研究の特徴を明瞭に表わしている。近代的価値観が問い直されつつある今日の状況に、一石を投じる書といえよう。
内容説明
「啓蒙」とは何か。カント以来続くこの壮大なテーマをめぐって、「急進的啓蒙」という概念によって新たな展望を提示。西洋中心主義批判、相対主義・多元主義のもとで近代的価値観が流動化するなか、自由・平等・理性・人権・民主主義といった概念の普遍性と現代的な意義を問う。
目次
第1章 進歩および世界の改良をめぐる啓蒙の路線対立
第2章 民主主義か社会階層制か?―政治的断絶
第3章 平等と不平等の問題―経済学の台頭
第4章 啓蒙による戦争批判と「永久平和」の探求
第5章 対立する二つの道徳哲学
第6章 ヴォルテール対スピノザ―啓蒙が示す哲学体系の基本的二元性
第7章 結論
著者等紹介
イスラエル,ジョナサン[イスラエル,ジョナサン] [Israel,Jonathan]
(Jonathan Irvine Israel)。1946年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジを卒業後、1972年、オクスフォードにて博士号取得。ニューカッスル大学、ハル大学を経て、1974年よりユニヴーシティ・カレッジ・ロンドンにおいて近代史を担当。2001年からプリンストン大学で教鞭を執り、現在は同大学の名誉教授
森村敏己[モリムラトシミ]
1960年、三重県生まれ。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。専攻はフランス思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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