出版社内容情報
革命が生んだ特異な「病院の医学」。現代医学の出発点=パリ学派を見事に描きフーコー『臨床医学の誕生』と双璧をなす。引田隆也解説
革命のパリが生んだ特異な医学。それを本書は「病院医学」と名づけた。「書斎医学」や「ベッドサイド医学」また今日の「研究室医学」とも異なる全く独特の型の医学である。中世以来の病院=施療院は、貧困者や犯罪者や狂人も含む収容施設だった。政治革命は新しい病院と教育制度をつくり、病院を足場に医学革命が、首都パリにおこった。聴診器の発明や精神医学・小児医療など専門分科の誕生は現代医学の出発点を印す。が、病院医学は行き詰まり、わずか55年後のパストゥールらに始まる研究室医学にとってかわられるのだ。傑出した医学史家アッカークネヒトの筆致はまるで医療の社会史のようだ。しかし「単なる「医学史」のように読むなら、何も読まなかったことになろう(…)解剖学のまなざしと臨床医学のまなざし(…)元来、地理と歴史の相違として、対立する構造をもっているからである」(引田隆也)。政治思想の観点に立って『パリ、病院医学の誕生』をフーコー『臨床医学の誕生』と重ね読む、刺戟的な読解を案内する新解説付。
内容説明
パリ学派を描いてフーコー『臨床医学の誕生』と一対をなす医学史の名著。
目次
哲学
病院
先駆者たち
学校
ピネルとビシャ
ブルセ
コルヴィザール、ベール、ラエンネク
折衷主義者
医学会と医学雑誌
袋小路
治療
外科
衛生学
専門学
政治的、医学的改革
外国人学生と外国人医師
文学と医学
著者等紹介
アッカークネヒト,アーウィン・H.[アッカークネヒト,アーウィンH.][Ackerknecht,Erwin Heinz]
1906‐88。医学史家、北ドイツ(現ポーランドのシュチェチン)に生まれる。医学を学び、1931年ライプツィヒ大学卒業。学生時代コミュニストの学生グループに加わり、しだいに政治活動からは遠ざかるが反ナチス、反右翼の立場を貫き、33年ドイツを離れる。パリの人類博物館でマルセル・モース,リュシアン・レヴィ=ブリュル,ポール・リヴェに民族学を学ぶ。ソルボンヌ卒業。41年ジョンズ・ホプキンズ大学研究員として渡米。アメリカ自然史博物館人類学副部長を2年務めたのち、47年ウィスコンシン大学医学史主任教授、57年チューリヒ大学医学史主任教授となり71年に退職
舘野之男[タテノユキオ]
1934年、栃木県に生まれる。1959年千葉大学医学部卒業、64年同大学大学院医学研究科修了。千葉大学医学部助教授、放射線医学総合研究所臨床研究部部長など歴任。放射線医学・核医学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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