出版社内容情報
患者を癒すには国を、世界を直さなければならない。ノーベル平和賞候補と言われる医師によるハイチ大地震の救助・復興の壮絶な記録。
2010年1月12日のハイチ大地震から4年。著者はそこで30年近く無償医療活動を行い、絶望的状況で常に方策を見出してきた。そして20万以上の死者を出した未曽有の災害後、以前より良い状態への復興を目指す。しかし、世界の近代化のしわ寄せを一手に引き受けたこの国の問題は根深く、患者の苦しみを癒すには、国の、そして世界の病理を診る必要がある。世界で最も尊敬される医師による、壮絶な闘いの記録。
ネグ・マウォン/苦しみについて書くこと/1 カタストロフィ/2 実践と政策/3 1月12日とその後/4 現病歴/5 キャンプへ/6 救援から再建へ―より良く再建できるか/7 コレラの時代の復興/8 前を向いて、同時に後ろを振り返って―ルワンダの教訓/エピログ―2011年1月12日
内容説明
ハイチで30年にわたって医療活動を行ってきた著者とそのチームの、今世紀最悪の緊急事態における闘いの記録。闘う相手は「自然」災害だけではない。判断力を伴わない善意がもたらす弊害、先進国の業者に還流する支援金、政府ではなくNGOに流れる資金、それで「国」を再建するという愚。希望はハイチ人の強靭さと、「より良い再建」に向けた真摯な努力である。今後の大災害やグローバルイシューへの取り組み方を変えうる重要な一冊。
目次
1 カタストロフィ
2 実践と政策―震災以前の世界
3 一月一二日とその後
4 現病歴
5 キャンプへ
6 救援から再建へ―より良く再建できるか
7 コレラの時代の復興
8 前を向いて、同時に後ろを振り返って―ルワンダの教訓
9 エピローグ―二〇一一年一月一二日
著者等紹介
ファーマー,ポール[ファーマー,ポール] [Farmer,Paul]
1959年生まれ。発展途上国での医療提供活動によって世界的に著名な医師・医療人類学者。ハーヴァード医学大学院国際保健社会医学部長などを経て2010年からKolokotrones University Professor at Harvard University.学生の頃からハイチの慈善活動に参加し、1987年、出資者や同級のジム・ヨン・キムらとともに国際保健のNPOパートナーズ・イン・ヘルス(PIH)を創立した。PIHは現在12カ国で医療活動を展開しており、貧困地域ではこれまで不可能とされていた結核やエイズの治療に成功した
岩田健太郎[イワタケンタロウ]
1971年、島根県生まれ。島根県医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバート・アインシュタイン医科大学、ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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