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落語の国の精神分析

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  • サイズ B6判/ページ数 263p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622077046
  • NDC分類 779.13
  • Cコード C0011

出版社内容情報

八っあん、与太郎、若旦那…落語国の住人のあまりに人間的な性格を、気鋭の精神分析家が分析。心理学から迫る新しい落語評論。

内容説明

与太郎、若旦那、粗忽者…落語の国の主人公たちは、なぜこんなにも生き生きとして懐かしいのか?登場人物たちのキャラクターと病理の分析を軸に、古典落語の人間観と物語の力を解き明かす。ひとり語りのパフォーミングアート・落語が生み出す笑いと共感のダイナミズムに迫り、落語家の孤独を考える。観て、聴いて、演るほどまでに落語に魅せられてきた精神分析家による、渾身の落語評論。巻末には立川談春師匠との対談「落語の国の国境をこえて」を収録。

目次

孤独と分裂―落語家の仕事、分析家の仕事
「死」と「死体」のあいだ―「らくだ」
変わること、夢見ること―「芝浜」
若旦那の悲喜劇―「よかちょろ」
無私、江戸っ子、生き続けること―「文七元結」
粗忽と乖離―「粗忽長屋」
与太郎とは誰か
できごととしての「居残り」―律儀と放縦
男はつらいのか―「明烏」若旦那の変容
「生きている」ことと「死んでいる」こと―「寝床」〔ほか〕

著者等紹介

藤山直樹[フジヤマナオキ]
1953年福岡県生まれ。幼少期を山口県の瀬戸内海岸で育つ。1978年東京大学医学部卒業。専攻、精神分析。現在、上智大学総合人間科学部心理学科教授。東京神宮前にて精神分析家として個人開業。国際精神分析学会(IPA)認定精神分析家。日本精神分析協会訓練分析家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

46
幼少より天狗連(アマチュア落語家)として高座を披露するほど落語を愛する精神科医の著者が、落語という演芸と、代表的演目を分析する。現代社会では隠滅する、社会不適格者、精神障害者、屍体が自然に馴染み、生きている世界。昨今ことさら云われる寛容社会というインチキ臭いものが成立している。その精神的なものは何か。なかなか思いつきもしない視点だが背首することも多い。巻末の立川談春師との対談をあげるまでもなく、著者は故立川談志に傾倒しているので、落語好きをこじらした人向けだろう。個人的に「あたま山」の分析を訊いてみたい。2016/09/18

Norico

22
精神分析家である筆者の落語論。文七元結、明烏、居残り佐平次、らくだに粗忽長屋など有名なネタを精神分析という視点でみるのは不思議。芝浜の最後があまり好きじゃなかったのですが、この本読んでなんか納得。談志論では、談志の落語が聴きたくなります。最後の談春との対談も面白い。談春の文七元結はすごいと思ってたけど、なるほど長兵衛になりきってるから違和感がないんだなぁ。2021/01/12

ケー

19
精神分析家であり、アマチュアで落語を演じている著者が自身のフィールドを利用して落語の演目を解読してゆく。まさに著者にしか書くことのできない一冊。「らくだ」の死に関する考察や与太郎はいったいどんな人物なのか、「明烏」の若旦那の変容など、落語の精神世界の奥深さに気づかされる。そこまで専門用語が多いわけではないので、特別精神分析を知らない人でも問題なく読める。落語好きの人からしたらまた新たな解釈ってことで楽しく読めると思う。2020/09/21

hasegawa noboru

5
落語を聴くのに理屈は要らないと思いつつ、つい引き込まれて読んでしまった。落語大好きの精神分析家による落語のネタ(根多と書くのですね)及び落語家論。「芝浜」の章で〈つくづく人間は変わらないものだ〉〈人生は繰り返しに埋めつくされている。基本的に、人間とはどうしようもないものだ〉といい、立川談志が定義付けた〈落語とは人間の業の肯定〉とつなげて〈落語は人間の不毛性、反復性、「どうしようもなさ」をまざまざと具現するもの〉という。「文七元結」に人はなぜ涙するのか。長兵衛の無私は乳児を生かした母親という環境への追慕。2014/03/27

ひまわり

5
精神科のお医者さんが書いた落語の主人公たちの精神分析。落語の登場人物のありようも面白かったけど、それにいくまでの著者自身の行動を考えるのもおかしい^^人間の行動は なんでもそうなるには・・・の分析ができるのか。でもあまり深く考えすぎないのが精神科のお世話にならない秘訣かなと思ったり。「粗忽」の話には納得することしきり。私自身は粗忽ではないので(自慢)なぜ忘れ物をする人はしょっちゅう忘れるのか不思議だったけど、仕方ないことなのですね(笑)2013/04/02

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