出版社内容情報
グリフィス、ラング、ウェルズ、ヒッチコックからイーストウッドまで。表象文化論の新鋭による、読み物としても一級品の映画史。
内容説明
ひとはなぜ不安と恐怖を求めて映画を見るのか。グリフィス、ラング、ウェルズ、ヒッチコックからイーストウッドまで「サスペンス=宙吊り」の魅惑を語りつくす。
目次
第1部 モビリティー(サスペンスの始まりとグリフィス;バーレスクとモダン・エイジ;フリッツ・ラングと二つの全体主義)
第2部 めまい(主観的サスペンスとジャンル化;ヒッチコック的サスペンス;ポスト・ヒッチコック)
著者等紹介
三浦哲哉[ミウラテツヤ]
1976年福島県郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。福島県内外での映画上映プロジェクトImage.Fukushima代表。「キネマ旬報」、「ユリイカ」等に映画批評を寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジャン
5
まとめきれないのでメモだけ。読んでいる間、脳汁が出まくっていた。 ◾️ラング(30年代) ・都市に偏在する犯罪 ・無意識の導入=理性の危機 ・観客を含む人間の思考の自由を奪う ◾️30年代のミステリー(説話論的経済性) ・遅延の技法 ・多重的な意味作用の解読(ルビッチ) ・ハリウッドの全体主義のフィルムの加虐的な模倣(ラング)2023/10/10
midnightbluesky
4
専門書なのでかなり読み手にもそこそこの力量がないとダメか、と実感。それぐらいレベルが高い、ということ。2012/11/14
nizimasu
2
正直、前半は何が書いているのか皆目わからない戦前の映画事情なのであまり読んでいないです。後半のヒツチコック以降の映画事情について主観で撮る映画の胎動という意味でヒッチコックの作品を取り上げているのはなるほどと思った次第。基本的には結構難しく書いているように見えて明快な内容なのでもっといろんな人が読んでいい本かもしれない。しかもサスペンスの文脈がスピルバーグやクリントイーストウッドにまで受け継がれているという視点や文脈は実に痛快で是非映画好きな人には読んでもらいたいないようです2019/03/12
koji
2
博士論文で読みにくい箇所はありますが、映画史好きには堪らない一冊。アメリカサスペンス映画史をグリフィスから説き起こしC・イーストウッドで完結させる手管は水際立って、説話論から主観的サスペンスへ、そして即自的な刺激の追求と緊密な構築性の回復の拮抗へと展開します。しかし、その地平の先には、サスペンス映画が①時間の二重性、②「見えないものが干渉する」高次の眼差し、③覚醒の経験を通して、ポスト3.11後の不安の中で、現代人に精神の節制を説くより高次の意味づけがあります。読後、「めまい」を観賞してしまいました。2012/09/24
あんすこむたん
1
専門的な内容で読みごたえがある。2018/08/20