他者の苦しみへの責任―ソーシャル・サファリングを知る

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  • サイズ B6判/ページ数 267,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622075929
  • NDC分類 498.04
  • Cコード C0036

出版社内容情報

貧困・人権問題など社会的につくられる苦しみのエスノグラフィックな掘り起こしと分析。ファーマーら最重要の論者による精選論集。

内容説明

貧困・難民問題など、社会的につくられる苦しみの可視化されない実相をいかに掘り起こすか。P・ファーマー、A・クラインマンらによる精選論集。

目次

遠くの苦しみへの接近とメディア(苦しむ人々・衝撃的な映像―現代における苦しみの文化的流用)
声なき者の表現を掘り起こす/インド・パキスタン(言語と身体―痛みの表現におけるそれぞれの働き)
トリアージの必要を問う「極度の」苦しみ/ハイチ(人々の「苦しみ」と構造的暴力―底辺から見えるもの)
医療テクノロジーと人権/日本(「苦しみ」の転換―北米と日本における死の再構築)
移民の苦しみのありか/スリランカ・英国(悩める国家、疎外される人々)
抑圧装置の解体(拷問―非人間的・屈辱的な残虐行為)

著者等紹介

坂川雅子[サカガワマサコ]
1934年、東京生まれ。東京大学大学院(英語・英文学専攻)修士課程修了。桐朋学園大学教授、長野県看護大学教授を経て、現在は翻訳家

池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年、北海道帯広市に生まれる。1987年『スティル・ライフ』(中央公論社、1991)で中央公論新人賞及び第98回芥川賞を、1993年『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、1996)で谷崎潤一郎賞を受賞。現在個人編集で刊行中の『世界文学全集』(河出書房新社)が2010年の毎日出版文化賞(企画部門)を受賞、編者としても2010年の朝日賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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テツ

21
世界の中で苦しんでいる他者。社会の中で苦しんでいる他者。「私」が世界と社会の一員である以上そのシステムの中で苦しむ他者に対して責任があるという考え方は納得できる。「私」のものではない苦しみに対して当事者性をもつことの困難さと、それでも人はそれをもつべきであるということ。知ることと思考することから全ては始まる。今こうしてインターネットを利用してこんな生きるためには全く不必要な行為に耽るぼくは(あなたは)この社会で利益を得ている側なのだから、そうではない他者を知りどうしたらいいのか考えなくてはならない。2019/08/20

猫またぎ

9
「他者」や「責任」といった言葉に立ち止まってはいけない、安易にまるく収めようとしてはいけない、乗り越えなければいけない、とはわかっているのだけれど。2023/07/15

Y.Yokota

5
ケヴィン・カーターという写真家が撮った有名な1枚、地面にうずくまる子どもの背後に獲物を狙うように立つハゲワシ。それは世界に貧困がどういうものか伝えると同時に、貧困を"商品化"したという理由で写真家に対する批判も招いた。しかし世界に訴えかけるためにこれ以上のことがカーターに出来ただろうか?カーターは賞をとった後に自殺した。主観と客観の間で他者の苦しみはどう理解されるべきなのだろう?様々な事例が記されたこれらの論文は自分がどう考え行動すべきかという問いの気持ちを掻き立ててくる。2020/01/23

huchang

4
知ることと消費することとは表裏一体だが、知らなければ想像できない。想像力の先に平和があると言ったら、大げさかな。直接知らない人の傷つきを想像して手当をしようとする能力は、大昔、それこそ死刑が公開されてたような昔には必要のない能力だったことだろう、多分。現代が情報過多の時代と言う人がいるけれど、きっと昔は必要なかった能力を要求されてるんだろう。アフガニスタンで命を落とした中村哲医師のこともちらっと出てくる。知っておこうと思った。想像力のない人間に成り果てないようにするには、努力が必要だ。2020/09/06

Momoko Nishikawa

3
何とか読めた。知らなかったことを知る事にも責任がある。消費者としての責任だろうか?2019/10/18

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