内容説明
ブルトンvsグリーンバーグ。第二次大戦のさなかニューヨークへ亡命したシュルレアリストたちは、新大陸から何を受け取り、何をもたらしたのか。シュルレアリスムと戦後アメリカ美術を架橋する。
目次
序 ブルトンvsグリーンバーグ
ブルトンとピカソ 接近遭遇
グラディーヴァ・ノート―シュルレアリスムのひとつの神話的形象をめぐって
マグリットvsグリーンバーグ―絵画の自己言及性について
マルセル・デュシャン 解答なき問題
サルバドール・ダリ―表層のバロック的遁走
アンドレ・マッソン オートマティスムの絵画
ニューヨーク、一九四二年
シュルレアリスムと抽象表現主義
著者等紹介
谷川渥[タニガワアツシ]
東京大学大学院博士課程修了。美学専攻。現在、國學院大學文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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体系的な論考というよりは『ユリイカ』的なエッセイの集まりといった趣きが強いが、二次文献への言及が豊富であり、シュルレアリスムの代表的作家についてキャリア全般を見通しながら美術史へと落とし込んでいるので非常に勉強になる。裏テーマとして「シュルレアリスムを貶しつつモダニズム=抽象絵画を称揚したい」グリーンバーグ君の奮闘記としても読むことができる笑。真面目で執念深いブルトン、目立ちたがりで臆病なダリ、優雅で知的なデュシャン、リア充のマッソン、空気の読めないマグリット、みんな違ってみんないい。2016/06/05