環状島=トラウマの地政学

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  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622073390
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C3047

出版社内容情報

トラウマ問題をめぐる関係者・研究者等の全体の構図はどうなっているか。関与する側される側、裁判や経済等の問題を体系的にする。

内容説明

「環状島」をモデルに、被害当事者から研究者、加害者までトラウマをめぐる関係者のポジショナリティと力動を体系的に描く試み。実践と倫理の道標のために。

目次

1 トラウマについて語ること―環状島というモデル
2 “内海”に沈む被害者たち
3 環状島の生成過程―セクシュアル・ハラスメント裁判から1
4 複数の環状島―セクシュアル・ハラスメント裁判から2
5 複数のイシュー化と複合的アイデンティティ
6 脱アイデンティティとアイデンティフィケーション
7 ポジショナリティの問いかけ
8 加害者はどこにいるのか
9 研究者の位置と当事者研究
10 環状島と知の役割

著者等紹介

宮地尚子[ミヤジナオコ]
一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻・教授。精神科医師。医学博士。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。1989年から1992年、ハーバード大学医学部社会医学教室および法学部人権講座に客員研究員として留学。1993年より近畿大学医学部衛生学教室勤務を経て、2001年より現職。専門は文化精神医学、医療人類学、ジェンダーとセクシュアリティ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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tu-ta

6
すごく刺激された。ほぼ1年前の読書記録。 ずっと前に読書メモを書いてたんだけど、こっちに入れるのを忘れてた。コメント欄にも入れます。読書メモ http://tu-ta.at.webry.info/201602/article_1.html 「環状島=トラウマの地政学」に関してWebで拾ったもの書庫&研究会メモ http://tu-ta.at.webry.info/201602/article_2.html2016/01/13

銀雪

6
精神医学に関心のある友人と、図書館で会ったときに薦められたので読んだ。トラウマやPTSDを環状の島に喩えた表現は、地理学を専攻している私にとってはとても飲み込みやすく、しっくりきた。セクハラ裁判の事例も衝撃的だった。私が生まれた年にはこんな男尊女卑が蔓延っていたなんて。ポジショナリティと「正しさ」の関係や、グレーゾーンの存在の人についても、「あの微妙な立場をよくぞ言語化してくれた!」という感じ。マイノリティ、性暴力、差別、被害者支援について考える上で読んで良かったととにかく思う。自分でも買おうかな。2013/12/28

right27

4
「トラウマ」を語るのは誰か、どこから語るのか。「支援者」を名乗る人々に対する漠然とした苛立ち、自らそれを名乗るときのむずがゆさが図として分かりやすく描かれていてできれば論文を書いていたときに出会いたかった。ネイティブ人類学者であるがゆえに陥りうる「失語症」。自分の書いたこの悲惨な文章は協力者のためになるのか?新たなスティグマやステレオタイプを生まないか?だけど学問として評価されるには対象をある程度切り刻まなくてはいけない。あれほど苦しかったのはそれが己をも切り刻む行為だったからなのだと今になって分かった。2023/05/30

ゆうき

4
トラウマを巡る環境と関係を被害者、加害者、支援者、傍観者、研究者という分類と位置を環状島というメタファーで実践的な分析と理論を記した本。フィールドワークなどで実際に使える理論が満載だ。我々はトラウマ(事件、事故も含む)という環状島に対してどのように自分の立ち位置と関係を知り向き合っていくのかというヒントがある。2011/11/19

t80935

4
トラウマについて語ることの可能性、語るもののポジジョナリティについて、環状島のメタファーを用いて語られている。環状島の真ん中に、内海に沈む声なき被害者がいる。フィールドワーカー、何らかの被害者支援活動をしている人は必読かと。2011/11/13

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