82歳の日記

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  • サイズ B6判/ページ数 330p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070962
  • NDC分類 935
  • Cコード C0098

内容説明

死の予感とともに“未知の国”へ。お供は猫のピエロ。過酷で壮麗な自然、友人たち、深い気鬱、読書と詩作。「楽天主義を手放さないこと」。サートン最後の日記。

著者等紹介

サートン,メイ[サートン,メイ][Sarton,May]
1912‐1995。ベルギーに生まれる。4歳のとき父母とともにアメリカに亡命、マサチューセッツ州ケンブリッジで成人する。一時劇団を主宰するが、最初の詩集(1938)の出版以降、著述に専念。小説家・詩人であり、日記、自伝的作品も多い

中村輝子[ナカムラテルコ]
北海道に生まれる。東京大学社会学科卒業後、1962年共同通信社入社。文化部記者、編集委員、論説委員を経て、98年退社。現在、立正大学客員教授、ジャーナリスト
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

miyu

27
これで終わりかという思いが込み上げてきて後半は逸る気持ちを抑えつつ読んだ。いつにも増して明瞭な文章に「ほんとに80代?」と感じたが書かずに口述を録音してからの書籍化と知る。自然を愛し人を愛し相棒としてのピエロ(猫)を愛するサートン。時に己の文壇上の不遇を嘆きつつも各地(各国)から届く手紙や何かと心をかけ続けてくれる隣人友達の存在に助けられ「わたしは幸せだ」と語る姿が清々しい。そこには物書きとして油の乗りきった頃の小気味の良い姿は既に見受けられないが、物忘れのひどさを嘆く姿は愛おしくもある。とてもよかった。2020/07/24

tom

17
82歳、詩人、ガンからのサバイバー。雪に埋もれる町に住む。体のあちらこちらがヘタってしまって、階段の昇り降りにも一苦労。ちょっと危なっかしいけれど、運転もする。詩人としての社会的評価は、本人が望むほどには高い物ではない。そのことに、いつもイラついている。自伝を書くという人のインタビューを長年受けているが、どうも怪しいと疑心暗鬼。でも、彼女の詩を愛してくれる人が多数いて、しばしばファンレターや感想文が届く。これが幸せ。お花を送ってくれる人も多数。少しも孤独でない82歳の一年間の日記。けっこう読む値打ちあり。2020/04/11

きゅー

12
彼女にとって言葉は神聖なものであり、嘘や虚飾で飾り付けるものではないのだろう。そして、これこそが彼女の日記が多くの人から愛される理由でもある。この年になっても取り繕うことなく怒り、悲しみ、喜び、涙を流す。彼女は「なぜみんなが日記をそんなに好きなのかわからない」と書いているが、まさにそのように書けるからこそ好かれるのだ。メイは孤独な家に住んでいると言うが、ほぼ毎日誰かが訪れ、ファンレターや花が届いている。誰かを愛し、そして同時に誰かから愛される素晴らしい素質を持った人だったのだろう。2020/06/18

ののまる

11
メイ・サートン81歳から82歳の日記。前作『回復まで』から実際には数冊の日記があるので(邦訳なし)、心臓発作や老いの進行などの事情が見えない部分があり、また口述筆記であるため、今までとは違う印象。厳しい土地でのひとり暮らしだが、暖かな友人、読書や詩作・思索の日々、高まりつつある評価(この時期に日本で邦訳刊行)があるのに、過去や現在の批判や怒りに苛まれて気鬱になる日々の繰り返し。老いからくるのか、気質なのか。サートンは何が揃えば満足であったのか(名誉?評価?)ずっと不思議に思う。この一年後に死去。2015/10/03

たにこ

3
図書館で背表紙を見てビリビリときた本。日々できなくなる事が増える「老い」をひしひしと感じながら生活する。老いることの憂鬱と、毎日山のように届く郵便物に追われ、宝石のような自然を見て幸福を感じる。孤独は愛すべきもの。浮き沈みする心境は、心に沁みるほど瑞々しく少し悲しい。2009/03/24

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