内容説明
惑星思考のなかでの比較文学とは?グローバリズムのさなか、現在の大学教育、文化や文学研究のあり方を批判しつつ提起する、スピヴァクの来たるべき学問論。
目次
第1章 境界を横断する
第2章 集合体
第3章 惑星的なあり方
著者等紹介
スピヴァク,G.C.[スピヴァク,G.C.][Spivak,Gayatri Chakravorty]
1942年、インド西ベンガルのカルカッタに生まれる。カルカッタ大学卒業後、1961年にアメリカ合衆国に留学、ポール・ド・マンの指導のもと、コーネル大学でW・B・イェイツにかんする博士論文を完成させる。現在コロンビア大学アヴァロン財団人文学教授。1976年にジャック・デリダの『グラマトロジーについて』の英訳を刊行して脚光をあびて以来、フェミニズムとポストコロニアルの問題圏の交差する地点に定位しつつ活躍をつづけている批評家である
上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年兵庫県尼崎市に生まれる。1968年東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了。思想史家
鈴木聡[スズキアキラ]
1957年弘前市に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。批評理論・文化理論・アングロ=アイリッシュ文学専攻。現在東京外国語大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cockroach's garten
17
「惑星的思考」という単語が出てくる本書は従来の国単位で見た文学よりも、もっと大きな視点から文学を見ていくことが重要だと語った。内容は現在から見たらそれほど目新しくはない。(グローバリゼーションに慣れてしまったせいか)書き方が独特で難解な印象を受けた。2020/06/14
ハチアカデミー
10
ある学問の、西欧中心主義的なまなざしに基づいた越境の限界と集合的アイデンティティが文化的に構築されたものであるという限界を指摘し、それを乗り越える手段として「惑星思考」を提示。自らを「惑星」の中に住まう者と位置づけ直し、「他なるもの」を「私たちに由来するのではない根源的なもの」と見つめなおすことで、自明としていた文化や思考は相対化される。学問がその歴史の中で積み上げてきたルールや作法を問い直し、それを脱構築していくことが可能であることこそが、死に瀕しつつある「人文学」の存在意義だと締めくくる。いまでしょ。2015/05/30
Ecriture
4
「惑星思考」というキーワードが最近とてつもなく流行っているので、読まざるを得なかった。比較文化研究がヨーロッパに基板をおいたメトロポリス主導のものであったのを、ペリフェリーからの地域研究と接合して新たな比較文学をやっていきましょう、と。そういう研究や惑星思考などというアイデアもグローバリゼーションの一般化に与する危険があるところを自分で押さえてる点はさすがスピヴァク。言語以外のものに語らせるという空間文法が名称成立以前のポスコロ的蠢動であるという指摘も示唆に富む。2010/07/23
てことこ
0
人間が超える世界ではなく惑星単位で考える。なんか内容が頭に入りにくいんだけどこれは英語が変なのか翻訳が変なのかな2009/07/01
よこづな
0
“保証のないままに、他の文化によって、他の文化のなかで、真にあなた方自身が想像されるがままにしておくこと(その不可能性を経験すること)なのだ、おそらくは。これこそが、テレイオポイエーシスである。”2009/06/23