出版社内容情報
「いつも人間の精神の分析を経糸に、社会の問題を緯糸に、時代の織物を織っていたかのようだ。……1980年代の富裕社会が終わり、不況や金融・財政の破綻を国家主義の外枠で締め付けて乗り切ろうとする、保守の意思を浮かびあがらせている。浮かびあがらせ、批判しながら、もっと違った生き方があると語り続けてきたつもりである」(「著者あとがき」より)
本書は、3年半にわたって書き綴られた信濃毎日新聞連載の〈今日の視角〉をまとめたものである。戦争について――日本人の侵略戦争否認や無知、中東戦争、チェチェン戦争――、北朝鮮、台湾、インドシナについて、犯罪事件(とりわけ少年犯罪)、教育問題――教師への抑圧、心の教育と愛国心の強制――、精神科医療の問題、そして折節の辺境からの旅の便り……。
大きく論議されてきたトピックから巷では見過ごされてしまった重要な事件まで、昨今の時事問題に関して、才気に満ちた批判的精神で辛口に論じたエッセイ集である。まさに「今日への視角」を呈示する好個の書。
野田正彰(のだ・まさあき)
1944年、高知県生まれ。北海道大学医学部卒業。長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外国語大学教授、京都造形芸術大学教授、京都女子大学教授を歴任。専攻は比較文化精神医学。主な著書に『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、1987年、大宅壮一ノンフィクション賞)、『喪の途上にて』(岩波書店、1992年、講談社ノンフィクション賞)、『紊乱のロシア』(小学館、1993年)、『庭園に死す』(春秋社、1994年)、『災害救援』(岩波新書、1995年)、『わが街東灘区森南町の人々』(文藝春秋、1996年)、『戦争と罪責』(岩波書店、1998年)、『聖ロシアの惑乱』(小学館、1998年)、『気分の社会のなかで』(中央公論新社、1999年)、『国家に病む人びと』(中央公論新社、2000年)、『犯罪と精神医療』(岩波現代文庫、2002年)、『させられる教育』(岩波書店、2002年)などがある。
内容説明
国家と戦争、教育や医療の問題、そして少年犯罪―その背景としてある社会と文化を冷静に見つめなおし、さまざまな解決方法を導く鋭利な思索を呈示する。
目次
飢餓難民たちの叫び
無差別殺人とアモック
ヒマラヤのリンドウ
台湾大震災と民主化
社会の断層
オウムと近代日本文化
薬害エイズ被害者との一夜
先端医療と悲哀
王清峰さん、希望を運ぶ女性
国民党残党の村〔ほか〕
著者等紹介
野田正彰[ノダマサアキ]
1944年、高知県生まれ。北海道大学医学部卒業。長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外国語大学教授、京都造形芸術大学教授、京都女子大学教授を歴任。専攻は比較文化精神医学。主な著書に『コンピュータ新人類の研究』(文芸春秋、1987年、大宅壮一ノンフィクション賞)『喪の途上にて』(岩波書店、1992年、講談社ノンフィクション賞)などがある
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