出版社内容情報
アルベルト・ジャコメッティは、20世紀を代表する彫刻家として広く認められているが、同時に彼は優れた画家であり、素描家であり、版画家でもあった。
本書は、1964年9月12日から10月1日までの18日間に、パリのアトリエにおいて、ジャコメッティが著者ロードをモデルとして油彩作品を制作した際の記録である。
「彼はときにシジフォスの苦行のようにも見えるこの試みにのめりこんでいた。……この絵をつうじて、この絵のせいで私たち二人に起こっていたことは非現実的なものになっていたが、それにもかかわらずある意味ではよりいっそう現実的なものになっていた。……私たちが居合わせていることと私たちの関係とは、ときとして不条理に起因するかのように、また不条理の性格を帯びるかのように思えたし、嘲笑に値するものであると同時に崇高なものであるように思えた。」
芸術作品の創造の現場に位置し、自らその対象となりながら、終わりなき対話を書き留めた貴重な作品、待望の翻訳。
James Lord(ジェイムズ・ロード)
1922年、米国ニュージャージー州イングルウッドに生まれる。美術評論家、エッセイスト。第二次世界大戦中にパリに滞在、その後もフランスに留まり、パリの芸術家、思想家と親しむ。ジャコメッティとは1952年に知り合って以来、終生最も親しい友人でありつづけた。本書のほか、主要な著書として、Giacometti: A Biography (1985)、 Picasso and Dora (1993) (『ピカソと恋人ドラ』、平凡社、1999)、 Plausible Portraits of James Lord (2003) などがある。
関口浩(せきぐち・ひろし) 訳
1958年、東京都に生れる。1991年、早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻後期課程修了。現在、早稲田大学非常勤講師。著書に『ハイデッガーを学ぶ人のために』(共著、世界思想社、1994)、『〈対話〉に立つハイデッガー』(共著、理想社,2000)など。訳書に、リーデル他『ハイデッガーとニーチェ』(共訳、南窓社、1998)、ハイデッガー『芸術作品の根源』(平凡社、2002)など。
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関連書:
矢内原・宇佐見・吉田訳『ジャコメッティ エクリ』
矢内原伊作『ジャコメッティ』
矢内原伊作 撮影・テクスト『ジャコメッティ=アルバム』
宇佐見英治『見る人――ジャコメッティと矢内原』
内容説明
20世紀最高の芸術家の一人、その油彩画のモデルとなった著者は、作品の制作過程、画家との終りなき対話を書き記し、写真で作品の各段階を記録した。創造の秘密に迫るポートレートとしての本。
著者等紹介
ロード,ジェイムズ[ロード,ジェイムズ][Lord,James]
1922年、米国ニュージャージー州イングルウッドに生まれる。美術評論家、エッセイスト。第二次世界大戦中にパリに滞在、その後もフランスに留まり、パリの芸術家、思想家と親しむ
関口浩[セキグチヒロシ]
1958年、東京都に生れる。1991年、早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻後期課程修了。現在、早稲田大学非常勤講師
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