トランスアトランティック・モダン―大西洋を横断する美術

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  • サイズ A5判/ページ数 313,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622070061
  • NDC分類 702.06
  • Cコード C3070

出版社内容情報

TRANSATLANTIC MODERN
-大西洋を横断する美術-

1921年7月21日、ひとりの小柄なアメリカ人が、大西洋航路を辿ってニューヨークからパリに降り立った。――マン・レイのパリ到着とともに幕を開ける本書のテーマは、20世紀前半のモダニズムにおける「フランスとアメリカの美的交感の劇」である。

1910-20年代のパリ-ニューヨーク。そこでは「ダダ」を合言葉に、フランスとアメリカの芸術家たちが活発な交流を繰りひろげていた。そのさなかにあって、フランシス・ピカビア、マルセル・デュシャン、パブロ・ピカソ、フェルナン・レジェなどフランスの前衛たちが、摩天楼、ジャズ、映画、工業機械、広告といった新時代の「アメリカ的形象」に、いかに深く魅了されていたか。

また、モートン・シャンバーグ、チャールズ・シーラー、ジェラルド・マーフィーといった、今日ではほとんど顧みられることのないアメリカの画家たちが、いかに旧来の伝統や因習から解き放たれた、斬新な「アメリカ的精神」を体現していたか。

本書ではこうした大西洋間の美的交流が、詳細な資料の解読と周到な作品分析によって、いきいきと説得的に語られる。

さらに、フランク・ロイド・ライトとプレ=コロンビア建築、ヴィフレド・ラムと錬金術といった視点をとおして、本書は美術のみならず、建築、映画、演劇、文学といった多様な領域に視線を届かせ、20世紀前半の「モダン」の諸相を、いっそう重層的に浮かびあがらせる。繊細かつ大胆な、歴史の読み換えの実践であり、美術史を書き換える画期的な労作である。

村田宏(むらた・ひろし)
1953年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業、同第一文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程修了(芸術学専攻)。静岡県立美術館、横浜美術館学芸員を経て現在、跡見学園女子大学短期大学部助教授。専門は西洋近現代美術史。共著『NHKオルセー美術館第6巻 20世紀への架け橋』(日本放送出版協会、1990)、『講談社版現代美術12 ウォーホル』(講談社、1993)、『モダニズム研究』(思潮社、1994)、『朝日美術館西洋編8 ホイッスラー』(朝日新聞社、1997)、『モダニズムの越境 Ⅱ 権力/記憶』(人文書院、2002)ほか。
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内容説明

摩天楼やジャズが、ピカソやデュシャンらモダニストに与えた影響とは。1910‐20年代のパリ‐ニューヨークを舞台に、フランスとアメリカの前衛たちの相互交流を跡づけ、美術史を書き換える労作。

目次

「アメリカの少女」―トランスアトランティック・モダンのために
1 ニューヨーク、ロサンゼルスへ(アレンズバーグ・サークルとニューヨーク・ダダ―「フランス」から「アメリカ」への転回;フランク・ロイド・ライトとプレ=コロンビア―「ホリィホック・ハウス」とアール・デコ)
間奏 ギリシアへ(地中海の岸辺に―両次大戦間における古典的ルネサンス)
2 パリへ(「バレエ・メカニック」―絵画と映画と;ジェラルド・マーフィーと「アメリカニスム」―フランスのアメリカ/パリのニューヨーク;「力の伝達」―「赤い三〇年代」の絵画と政治)
3 ハバナへ(ヴィフレド・ラムの芸術―「ベリアル、蝿の王」を中心に)