出版社内容情報
シェイクスピアの戯曲を鮮やかに解読するスリリングな試み。ドイツの法・政治学者による幻の書。
内容説明
17世紀初頭、「世界劇場」の時代が生んだシェイクスピアの戯曲を、当時の事件と関係づけながら読み解くスリリングな試み。ドイツの法・政治学者による幻の書。
目次
女王の禁忌(タブー)
復讐者の人物像
悲劇性の源泉
結論
補論1 王位継承者としてのハムレット
補論2 シェイクスピア戯曲の粗野な性格について―W・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』に寄せて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
5
ドイツの公法学者によるハムレットをジェイムズ一世に、ハムレットの母をメアリ・スチュアートとして見た専門書。一見斬新に見えるのですが『メアリ・スチュアートの息子ハムレット』という先行研究があったり、結局二番煎じなんじゃないかという気がしないでもなく、どのあたりが著者のオリジナリティーなのかが分かりにくいことが難点です。メアリ・スチュアートって、2番目の夫ダーンリー卿を殺された直後に、首謀者であるとされるボズウェル伯と結婚しているわけだし、メアリの関与は不明のままだから、確かに関係あるとは思うのですけれどね。2012/07/29
D.Okada
1
原題はHamlet oder Hekuba. Der Einbruch der Zeit in das Spiel. 政治学者で公法学者でもあるシュミットのスリリングなハムレット論。ベンヤミン(『ドイツ悲劇の根源』)との鬩ぎ合い。あるいはニーチェは音楽の精神に「悲劇の誕生」を見たけれど、シュミットにとって悲劇の源泉は「共通の歴史的現実という生き生きとした経験に基づき成立している」。題材はシェイクスピアだけれど、シェイクスピアを専門に研究している人からすれば、シュミットのアプローチは衝撃的にうつるのかも。2012/09/16
figaro
0
文学者のこだわりを徹底的に除去したハムレット論だと思う。シェークスピアの置かれた政治的・社会的状況を考慮することをシュミットは求めたのだと思う。論の流れがスムーズで、推理小説並みのスリリングな展開で読みやすい。
ジョニー出ッ歯
0
図書館で借りた。さらーっと読んだ2009/09/21