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lettres
消去〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 p225/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048701
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報


全2巻

シリーズ lettres

著者等紹介

ベルンハルト,トーマス[ベルンハルト,トーマス][Bernhard,Thomas]
1931‐1989。オランダのマーストリヒト近傍に生まれる。1957年に詩集『地上にて地獄にて』でデビュー、その後小説『霜』(1963)『石灰工場』(1970、邦訳あり)、自伝的作品5冊『理由』(1975)『地下室』(1976)『呼吸』(1978)『寒さ』(1981)『子供』(1982)などを発表し、独特の作風を確立する。戯曲家としても『しばい屋』(1985)『リッチー、デーネ、フォス』(1986)『ヘルデンプラッツ』(1988)など多数の作品がある。他に邦訳がある小説は『ヴィトゲンシュタインの甥』(1982)『滅びゆく者』(1983)。1970年にビューヒナー賞を受賞。20世紀のオーストリア文学のみならず世界文学を代表する作家・劇作家である

池田信雄[イケダノブオ]
1947年東京に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科教授。ドイツ文学・異文化コミュニケーション論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

104
後半になって、ようやく両親と兄の死の原因がわかる。しかし、内容は小出しにされる。終盤は、前半で仄めかされた母が関係した人について延々と続き、いきなり終わった。驚くものの、これも一種の天才的は収束のさせ方だと思う。そして、ガンベッティは一体実在するのだろうか。どれほど寛容な人なのだろう。読んだことのない文体はクセになりそうだ。2016/07/23

扉のこちら側

71
初読。2015年1021冊め。【48-2/G1000】これぞNestbeschmutzer。ローマに暮らす主人公が、オーストリアの両親と兄の死を知らせる電報を受け取り、実家とそれにまつわるものについて延々不満を垂れ流す上巻から、実際に実家に帰省しての下巻へ。呪詛とも言えるほどの不満だらけなのに、その突き抜けっぷりと高尚ぶりが面白い。希望や愛、肯定的なもの全てを否定して息苦しいのに、どうしてだろう。2015/08/27

NAO

55
下巻では、自分の家族に対する呪詛は減っているものの、オーストリアの体制に対する非難の声はやむことがない。「カトリック国オーストリアはいまにいたるまで反ユダヤ主義と国民社会主義(ナチズム)の温床だ」と唱え続けたベルンハルト。自分の国を、「オーストリア的日和見」といって嫌悪した彼の激しい言葉の裏側に隠されている孤独と絶望を思うとき、オーストリアという、中欧のさまざまな矛盾を含んだままの状態で長年にわたって存在し続けていた国の姿が不気味に浮かび上がってくる。2016/11/14

syaori

52
故郷に舞台が移る本巻でも「私」の呪詛は続きます。世界を「無に至らしめるまでに『否定』し」「自分に耐えられると思える仕方で再生させる」のだと彼は言う。しかし物語が進むに従い、修復し再生できると思って「覗き込んで」いたものは「ぽっかり口をあけた空虚」でしかないということに。そういう意味で本書は「ある崩壊」という副題のとおり彼の思考の挫折、崩壊を追ったものなのだと思います。しかしこの悲劇が軽やかなのは、あれほど否定し嫌悪した仕組みや制度を持つ世界、消去できなかった世界を彼が愛してもいたからではないかと思います。2020/05/08

zirou1984

40
やはり圧巻であった。上巻を塗り潰すかの様な呪詛と怨嗟の声はそのままに、しかし下巻では故郷に戻り葬式で矮小な振る舞いばかりしてしまう己の滑稽さが浅ましくも剥き出しに暴かれる。楽しい。そう、話の筋はどこまでも憂鬱で後ろ向きでありながら、その突き抜け加減が何とも素晴らしいのだ。ここにあるのは自己嫌悪と背中合わせに存在する上質な諧謔であり、繰り返される声による眩暈に襲われながらもその中心には台風の目の様な穏やかさが不思議と同居している。その声の弱さは暴かれてしまった、だけどそれのどこが可笑しいって言うんだい?2015/02/05

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