出版社内容情報
シリーズ〈大人の本棚〉
「近ごろでこそあまり耳にしなくなったが、『滑稽文学』『滑稽小説』と呼ばれるジャンルがあって、数多くの傑作がある。敗戦後の数年間、私たちはこの手のものを探し出しては読みあさっていた。過去を懐かしもうにも、浮かんでくるのは戦争中のいやな記憶ばかり、未来は茫漠としてなんの希望ももてそうもない、あるのは暗く貧しい現在だけ、せめてこれを笑いのめして生きてやろうか、ということだったのだろう」。
「太宰というとすぐ初期の『晩年』や『虚構の彷徨』、あるいは晩年の『斜陽』や『人間失格』といったシーリアスな作品ばかりが持ち出されるのは少し面白くない。太宰にそういった面があるのは否定しないが、私たちにとっては、太宰はまず滑稽小説の希代の名手だったのである」。
収録作品は「おしやれ童子」「服装に就いて」「畜犬談」「黄村先生言行録」「花吹雪」「不審庵」「親友交歓」「男女同権」の全8篇。ベルクソン、ボードレールほかの笑いの理論とともに、バルザック、チェーホフ、二葉亭四迷、坂口安吾、そして太宰など古今東西の滑稽文学を体験的に考察した編者序を付す。
太宰 治(だざい・おさむ)
1909年青森県北津軽郡金木村に生まれる。本名・津島修治。1930年、東京帝国大学仏文科入学。同年、井伏鱒二と出会い、以後長く師事する。1933年、同人誌「海豹」創刊号に「魚服記」を発表。1936年、第一創作集『晩年』刊行。戦後は一躍流行作家に。1948年6月、玉川上水に入水。著書『二十世紀旗手』(1937)、『女生徒』(1939)、『東京百景』(1941)、『右大臣実朝』(1943)、『津軽』(1944)、『お伽草紙』『惜別』(1945)、『斜陽』(1947)、『人間失格』(1948)ほか。
木田 元(きだ・げん)編
1928年生まれ。東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授。著書『現象学』『メルロ=ポンティの思想』『哲学と反哲学』『ハイデガーの思想』『ハイデガー「存在と時間」の構築』『偶然性と運命』(以上、岩波書店)、『哲学以外』(みすず書房)、『最終講義』(作品社)、『マッハとニーチェ』(新書館)、『闇屋になりそこねた哲学者』(晶文社)ほか。
内容説明
私たちにとっては、太宰はまず滑稽小説の希代の名手だった―と語る哲学者によって新たに編まれた短編集。「おしゃれ童子」「畜犬談」「親友交歓」ほか全8篇。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
1909年青森県北津軽郡金木村に生まれる。本名津島修治。1930年、東京帝国大学仏文科入学。同年、井伏鱒二と出会い、以後長く師事する。1933年、同人誌「海豹」創刊号に「魚服記」を発表。1936年、第一創作集『晩年』刊行。戦後は一躍流行作家に。1948年6月、玉川上水に入水
木田元[キダゲン]
1928年生まれ。東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授
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