出版社内容情報
書評情報:
大橋洋一さん/日本経済新聞 2001.4.1
内容説明
本書が扱うのは、英米文学の一部門であるユダヤ系作家の文学ではなく、非ユダヤ系作家・詩人の作品において、どのようなユダヤ人像が描かれてきたかである。歴史的過程を鳥瞰するのではなく、個々の作品の表現に心理的分析を施すことにより、より精密な作家論ともなった本書は、英文学とユダヤ学ともに通じた著者ならではの、貴重な著作である。
目次
第1部 イギリス文学のなかのユダヤ人(中・近世英文学にみるユダヤ人像(一〇六六‐一六〇〇)
近代英文学にみるユダヤ人像
現代英文学にみるユダヤ人像)
第2部 アメリカ文学のなかのユダヤ人(ユダヤ系アメリカ人の歴史―植民地時代から南北戦争まで;近代アメリカ文学にみるユダヤ人像;近代後期アメリカ文学にみるユダヤ人像;現代アメリカ文学に見るユダヤ人像)
著者等紹介
河野徹[コウノテツ]
1931年生まれ。東京大学教養学部、同大学院英語英文学修士課程卒業。現在、法政大学教授
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感想・レビュー
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ロピケ
4
『古書の来歴』、『ダニエル・デロンダ』。『アイヴァンホー』をこの間読んで、前々から気になっていた反ユダヤ主義について知りたくなった。聖書のユダや金貸しという職業がそのことに結びついているということは知っていたけれど、この本では、段々に作られて行ったユダヤ人観に触れ、それがさらなる差別を引き起こし、定着してしまうという恐ろしさについても著されている。英米の様々な作品に描かれたユダヤ人登場人物の描かれ方を通して、その作家の反ユダヤ主義についての態度を検証。オーウェルすら…。人の子の弱さである。2012/06/21