舞踏会へ向かう三人の農夫

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  • サイズ B6判/ページ数 415p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622045175
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

各誌紙絶賛! 20世紀の意味を根底から問う、アメリカ文学、最重要作家が放つ衝撃の長篇小説。

内容説明

それは1914年のうららかな春、プロイセンで撮られた一枚の写真からはじまった。現代アメリカ文学最強の新人が描き切った驚異の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

96
表紙にもなっている「舞踏会に向かう三人の農夫」という写真。作者と思わしき語り手がデトロイトで見つけた時に膨らませた「彼らは第一次世界大戦のきっかけになったサラエヴォの舞踏会に向かったのでは?」から饒舌に語られる20世紀史。更に赤毛の美女を探すメイズや第一次世界大戦で進軍するアドルフも多重的に語られる。アドルフってあの人じゃ・・・。世界大戦が遠因となった紛争のツケによって疑心暗鬼と未来や人間への不信、排他主義になってきている21世紀。変化していく今を淡々と生きて未来へと繋ぐ私たちに突き刺さる話でもありました2017/04/01

NAO

72
ドイツの写真家が1914年に撮った一枚の平和な写真。だが、同じ年の6月末、サラエボで起きた事件で世界は大きく変動した。そして、写真に写っている三人の若者達もその流れの中にいやおうなしに飲み込まれていく。アドルフ、ペーター、フーベルト、三人の生き方はそれだけでも十分に読み応えのある戦争小説だが、そこにその写真を見て強く惹かた戦後の「私」とピーター・メイズを配置することで、戦争は過去の出来事ではなく、現代にまで脈々とつながっていることを強く実感させる。2017/07/30

zirou1984

52
20世紀という時代を一つの総体として描こうとするならば、それは小説という形式においてのみ可能ではないか―そんな自分の妄想を圧倒的クオリティで成し遂げていた弩級の傑作。写真に残された1914年と現代の1980年代を行き来しながら、歴史上の人生、歴史に埋もれた人生、想像された人生―そんな生の物語を紡ぎながら、時に科学技術や大量生産、複製芸術、総力戦といった時代的概念についての考察が顔を出す。登場人物の人生を一本に結びながら同時に読者と時代を繋げていく、小説を読むことの楽しみ。その核心がここで打ち抜かれている。2016/08/15

スミス市松

32
私たちが20世紀を振り返ろうとすれば、その場面場面はペシミズムやノスタルジイに取りつかれ、どうしてもシニカルにならざるをえない(cf.「そういうものだ」)――本当にそうだろうか? パワーズはここで三人の男が映った一枚の写真を取り出し、三つの時間が交錯する力強くも真摯な物語を紡ぎながら、ただ一言、否と答える。行動と記述とが、実験と仮説とが分かち難く結びつき、無数の共謀された円環を成すこの20世紀と呼ばれる時代においては、私たちが過去を思い出す行為もまた、決して一方向的なものではあり得ないのだ、と。(続)2013/07/07

ネムル

23
第一次世界大戦を起点とした20世紀をいかに表現しうるか、と考えるなら暴力の世紀であり、過剰の世紀であり、作中出てくる未来派に倣えばスピードの世紀とも言えようか。そして、パワーズはこの問いに対して、圧倒的で過剰な想像力と蘊蓄で応えてみせる。スタートは1枚の写真と、そこに写る3人の男だ。ただ、それを見る、過剰な想像力をもって見るという行為が過去・現在・未来という時間を円環をもってゼロに、さらに見る我々読者と見る作者と、見られる歴史の距離をゼロにしてみせる。2018/03/06

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