鶴見良行著作集〈10〉歩く学問

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  • サイズ A5判/ページ数 281,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622038207
  • NDC分類 081.6
  • Cコード C1336

出版社内容情報

「一見放浪と見えるような旅を重ねることで、私たちのアジア文化観は厚みを増していく」。本著作集第9回配本は、著者最晩年の十年の文業を初めて集成した『歩く学問』をお届けする。

遠くインド洋に浮かぶ《謎の孤島》ココスに振り向けた異様なまでの情熱、大上段の議論からは常に見過ごされてきた「国境をこえる人びと」に注ぐ暖かい眼差し、海・野菜・炭などにめぐらす新鮮な考察、「一粒種信仰」にますます囚われていく日本の行方への深い懸念……

病を得てなお「めおと旅」をゆるやかに続けていった著者が書き綴る長短さまざまな文章は、とびきりの滋味と示唆に富むものばかりである。「『歩く学問』の真骨頂」を共感を込めて語る、網野善彦氏の解説も含め、フィクショナルな「政治」の暴力がいたずらに増殖していくかに見える今こそ、是非とも噛み締めてほしい一巻である。


鶴見良行(つるみ・よしゆき)
1926年、米国カリフォルニア州ロスアンゼルスで生まれる。外交官の父の仕事にともない、ワシントン、東京、ポートランド、ハルビンを転々とする。水戸で高校時代を送る。23歳で「思想の科学」誌の編集に関わり、1965年39歳のとき「ベトナムに平和を! 市民連合」発足に関わる。台湾、香港、ヴェトナム、ヨーロッパを旅行。初めてのアジア行。以降、頻繁にアジアを旅行し、また継続的に著作を発表。85年60歳、周防大島、北海道、神戸、九州でエビ、ナマコの調査。94年、69歳の年にココス島を三度にわたって調査。『ココス島奇譚』執筆中に急逝。

内容説明

国境を越え、更に遠くへ―日本人の“一粒種幻想”の虚妄を衝き、リアルなアイデンティティのありかを探る遺作『ココス島奇譚』ほか、最晩年の珠玉のエッセイを初集成する。

目次

1 ココス島奇譚(出逢い;二人の領主 ほか)
2 国境をこえる人びと―『ココス島奇譚』の周辺(日本の南進政策と経済発展―サバ州のオイルパーム農園を中心に;海から陸を見る ほか)
3 ほしがた道とちぎれ道―エッセイ1988‐94(エビフライの消えた社会;アジア社会と日本人―新しい「アジア学」の構想 ほか)
4 本を読む―書評1984‐90(大木昌『インドネシア社会経済史研究』;津野海太郎『物語・日本人の占領』 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

26
エビは村井吉敬先生、中村尚司先生も想起する(112頁下段)。エビフライの消えた社会(93頁~)。日本は世界最大のエビ食国民。戦後消費は急増。現代日本人は、大企業にエビを売りつけられているのだ(94頁上段)。日本人は、海のエビを食べつくし、大地のエビを育てようとしている。しかし、増産技術は、エビのいない世界へ向かって進むに等しい(95頁上段)。これは、エビ以外に、マグロにも言えることではなかろうか? エビと日本人(111頁~)。日本で消費されるバナナの9割弱はミンダナオ島の農園(114頁上段)。2015/12/07

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