戦後日本の“市民社会”

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  • サイズ B6判/ページ数 305p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622036746
  • NDC分類 301.2
  • Cコード C1036

出版社内容情報

『日本資本主義発達史講座』(1932年)の刊行を基点とし、15年戦争下、社会科学者はどのような方法(分析)によって世界認識を試みたのか? そしてその認識は戦後どのように継承され発展していったのか?(「日本社会科学の世界認識」)その世界認識の視点は、戦後民主主義のなかで「市民社会」派社会科学を誕生させるが、それはいかなる種子を残したのか?(「内田義彦における『市民社会』」)

そうした戦後社会の分析を深めるなかで、著者は、権力に抗した<市民>の典型ともいえる3人を『天皇の逝く国で』(ノーマ・フィールド著・みすず書房刊)に見いだす。そして、その3人を押し流そうとするメイン・ストリームに<市民社会>とはかけ離れた、今日の日本社会の危うさをみるのである。(「歴史にたいして責任をとることの複雑さ」)

戦前、戦後に屹立する社会科学者の思想を交錯させながら鳥瞰的にその継承・発展を追い、<市民>をとり巻く現代状況を浮き彫りにするとともに、在りうる<市民社会>像を透かしてみせる9篇を収める。

杉山光信(すぎやま・みつのぶ)
1945年東京に生まれる。東京大学文学部社会学科卒業。東京大学新聞研究所助手、大阪大学人間科学部助教授を経て、現在 東京大学新聞研究所教授。著書『戦後啓蒙と社会科学の思想』『現代フランス社会学の革新』(1983、新曜社)『モラトリアムの政治参加』(1987、中公新書)『学問とジャーナリズムの間』(1989、みすず書房)。訳書 モラン『オルレアンのうわさ』(1973、1980)アリエス『<子供>の誕生』(共訳、1980)ギンズブルグ『チーズとうじ虫』(1984)アリエス『歴史の時間』(1993、以上みすず書房)など。

内容説明

戦前、戦後に屹立する社会科学者の思想を縦横に読み解き、“市民”をとりまく現代状況を浮き彫りにする。在りうる“社会”像を透かせてみせる、秀逸の9篇。

目次

日本社会科学の世界認識
内田義彦における「市民社会」―その成立と戦時動員体制をめぐって
戦後思想史と文学
戦後社会の転換点―1960年代と日本
歴史にたいし責任をとることの複雑さ
「正義の父にして子」と宣誓拒否のあいだ
戦後におけるマスコミ研究の始まり―新聞研究所と1950年代のマスコミ研究
日本におけるメディアと権力
近代日本におけるユートピア運動とジャーナリズム―江渡狄嶺の著作と思想

著者等紹介

杉山光信[スギヤマミツノブ]
1945年東京に生まれる。東京大学文学部社会学科卒業。東京大学新聞研究所助手、大阪大学人間科学部助教授を経て、現在、東京大学新聞研究所教授
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