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ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所

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  • サイズ B6判/ページ数 161p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622031130
  • NDC分類 311.234
  • Cコード C1010

出版社内容情報

「わたしがつねに念頭においている目的意識とは、アーレントの言葉のありか、〈政治的思考〉の現場を、いかに精密に、しかも息づかいを見失うことなく跡づけることができるのかという一点である」

『全体主義の起原』や『人間の条件』をはじめ、20世紀を代表する政治哲学者ハンナ・アーレントへの注目は、ますます高まってきている。しかし、彼女独特の鍵概念である《現われ》や《あいだ》は、伝統の崩壊という認識からはじめられた彼女の政治的思考と、どのように結びつくのか。また亡命ユダヤ人であるアーレントは、なぜ論争を生んだ『イェルサレムのアイヒマン』を書いたのだろうか。

本書は、ヤング=ブルーエルのアーレント伝や膨大なエッセイ・書簡に分け入りながら、「アーレントとは何者か」を真摯に問いかけていった成果である。亡命知識人アーレント/政治と《あいだ》/アイヒマン論争と《始まり》/「木の葉」の〈身ぶり〉の4章。小著ながらみごとな作品が、ここに誕生した。

矢野久美子(やの・くみこ)
1964年、徳島に生まれる。2001年、東京外国語大学大学院博士後期課程修了。学術博士。現在 フェリス女学院大学国際交流学部助教授。思想史専攻。

内容説明

“現われ”とは、“あいだ”とは、アイヒマン論争の真意とは?「あなたは何者か」と問われた政治哲学者の言葉のありかと政治的思考の現場を、精密に跡づける。

目次

第1章 亡命知識人アーレント(アーレントの不在と存在;最後のドイツ系ユダヤ人;「われら」と「亡命者」のあいだ)
第2章 「政治」と“あいだ”(断崖の思考;「思索日記」の語るもの;“対等”の条件)
第3章 アイヒマン論争と“始まり”(最後の語りかけ;「心」の役割;削除された“始まり”;政治的思考のために)
第4章 「木の葉」の“身ぶり”(“応答”としての“身ぶり”;「木の葉」の自由;残骸の重さ;「戦線」の超越、あるいは中断)

著者等紹介

矢野久美子[ヤノクミコ]
1964年、徳島に生まれる。東京外国語大学大学院博士後期課程修了。学術博士。現在、フェリス女学院大学国際交流学部助教授。思想史専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シッダ@涅槃

25
図書館本。何も身についてないと思うので、結局また帰ってくる1冊になるかと思います。特に第四章の「木の葉」と「風」の読解。ショーレムとの書簡集読みたくなりました。2020/03/16

とみた

4
「政治的思考の場所」としてのアーレントの「身ぶり」を考察することを目的とした本。複数性という概念の核心は、相互に異なる複数の人間が《あいだ》の空間を創出する点にある、アーレントが受難の特権化に警告を発し、「パーリア」という概念をきっぱりと切り捨てた、「自由」が自己との交わりではなく、他者との交わり、結びつきにおいて経験されることが重要などの示唆的な話があった。一方、「風の中の木の葉のように自由」という比喩への着目は珍しかった。フランツ・カフカとの接点が本書では特に重要視されているように感じた。2014/06/05

フム

2
印象に残ったのは、「風の中の木の葉のような自由」という言葉。絶対的差異のある複数の人々が共有する世界を形づくるためには、自分自身に対する過剰な関心を持つことは警戒すべきことなのかもしれない。「人生における主要な罠は自分自身のアイデンティティを深刻に考えること」風の中の木の葉のような振る舞いで自分自身からも自由に考えることができたらいいと思った。2014/06/17

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