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ヒューマニズムとテロル―共産主義の問題に関する試論

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  • サイズ B6判/ページ数 353p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622030966
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C1310

出版社内容情報

メルロ=ポンティ・コレクション 全7巻
第6回配本


自由主義陣営と暴力的な共産主義という図式が流布していた1947年に書かれた本書は、ベルリンの壁とソ連崩壊後に生きるわれわれに何を投げかけてくるのだろうか? 批判的考察の対象とされているのは、1940年代に書かれたケストラーの作品、そして1938年のモスクワ裁判である。今では遠ざかってしまった時代のこうした事柄をとりあげた本書を、しかし一貫して流れているのは「暴力とは何か」という、まさに今日的な問題である。

「絶対的非暴力は結局のところ、すでにでき上がった世界、それもうまくでき上がった世界という観念に立脚している。」
「われわれは純粋さと暴力のあいだで選択するのではなく、多様な種類の暴力のあいだで選択するのである。われわれが受肉している限りで、暴力とはわれわれの宿命なのだ。」

こうしたメルロ=ポンティの言葉は、かつてないほど世界のそこここで暴力の遍在を感じざるをえない今、リアリティをもって読む者に迫る。

ケストラー作品について、またモスクワ粛正裁判についての情報を記した詳細な訳者解題、さらに附論として、シェーラー、マルセル、サルトル作の3編への書評を収める。



Maurice Merleau-Ponty(モーリス・メルロ=ポンティ)
1908年フランスに生まれる。1926年エコール・ノルマル・シュペリュール入学。在学中サルトル、ボーヴォワール、レヴィ=ストロースらと知り合う。1930年哲学教授資格試験に合格。その前年にフッサールのソルボンヌ講演、1935-39 年には高等研究院におけるコジェーヴのヘーゲル講義を聴講。ルーヴァンのフッサール文庫に赴き、遺稿を閲覧したのは1939年。第2次大戦中は従軍・レジスタンス活動を経験した。1945年、学位論文として同年刊の『知覚の現象学』および『行動の構造』(1942)を提出、博士号を受ける。1946年、サルトルらとともに「レ・タン・モデルヌ」創刊。1948年リヨン大学教授、1949年パリ大学文学部教授を経て、1952年コレージュ・ド・フランス教授に就任。1961年、パリの自宅で執筆中、心臓麻痺のため死去。著書『ヒューマニズムとテロル』(1947)『意味と無意味』(1948)『弁証法の冒険』(1955)『シーニュ』(1960)など。没後『見えるものと見えないもの』(1964)『世界の散文』(1969)、コレージュ・ド・フランス講義録などが刊行されている。


木田元(きだ・げん)編訳
1928年生まれ。1953年東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授。著書『現象学』『メルロ=ポンティの思想』『哲学と反哲学』『ハイデガーの思想』『ハイデガー「存在と時間」の構築』『偶然性と運命』(以上、岩波書店)『反哲学史』(講談社)『哲学以外』(みすず書房)『哲学の余白』(新書館)『最終講義』(作品社),訳書フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(共訳、中央公論社)アドルノ『否定弁証法』(共訳、作品社)ほか。

合田正人(ごうだ・まさと)訳
1957年生まれ。 一橋大学社会学部卒業。 現在 東京都立大学人文学部助教授。 著書『レヴィナスの思想――希望の揺籃』(弘文堂、 1998)、『レヴィナスを読む――〈異常な日常〉の思想』(NHKブックス、 1999)、 訳書 レヴィナス『全体性と無限――外部性についての試論 』(国文社、 1988)、『存在の彼方へ』(講談社学術文庫、 1999)、『固有名』(みすず書房、 1994)、『外の主体』(みすず書房、 1997)、 ザラデル『ハイデガーとヘブライの遺産』(法政大学出版局、 1995)、 ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』(みすず書房、 1996)、ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』(共訳、 ちくま学芸文庫、 2002)ほか。

目次

ヒューマニズムとテロル(テロル(ケストラーのディレンマ;ブハーリンによる歴史の両義性;トロツキーの合理主義)
ヒューマニズム的展望(プロレタリアから人民委員へ;行者とプロレタリア))
キリスト教とルサンチマン
『存在と所有』
J.P.サルトル『想像力』

著者等紹介

メルロ=ポンティ,モーリス[メルロポンティ,モーリス][Merleau‐Ponty,Maurice]
1908年フランスに生まれる。1926年エコール・ノルマル・シュペリュール入学。在学中サルトル、ボーヴォワール、レヴィ=ストロースらと知り合う。1930年哲学教授資格試験に合格。その前年にフッサールのソルボンヌ講演を、1935‐39年には高等研究院におけるコジェーヴのヘーゲル講義を聴講。ルーヴァンのフッサール文庫に赴き、遺稿を閲覧したのは1939年。第2次大戦中は従軍・レジスタンス活動を経験した。1945年、学位論文として同年刊の『知覚の現象学』および『行動の構造』(1942)を提出、博士号を受ける。1946年サルトルらとともに「レ・タン・モデルヌ」創刊。1948年リヨン大学教授、1949年パリ大学文学部教授を経て、1952年コレージュ・ド・フランス教授に就任。1961年パリの自宅で執筆中、心臓麻痺のため死去

合田正人[ゴウダマサト]
1957年生まれ。一橋大学社会学部卒業。現在、東京都立大学人文学部助教授

木田元[キダゲン]
1928年生まれ。1953年東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授
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