出版社内容情報
第2巻:哲学者とその影
1952年、メルロ=ポンティは44歳という異例の若さでコレージュ・ド・フランス教授に就任した。かつてヴァレリーやベルクソンが名を連ね、のちにフーコーが占めることになるポストである。本書収録の「哲学をたたえて」はその開講講演であり、翌年単行本として出版されたものだが、ここでは典型としてのソクラテスに則して、また歴史との関わりにおいて、哲学とは何か、哲学者の使命とは何かが真正面から論じられている。なかでも、先達のひとりであるベルクソンに対して積極的な評価を与えているページは、メルロ=ポンティによるまとまったベルクソン論として貴重なものだろう。
全7巻・第2回配本
既刊-第1巻:人間の科学と現象学
内容説明
「こと思索に関しては、なされた仕事が偉大であればあるほど、この仕事のなかで考えられないでしまったこと、いいかえれば、この仕事を通じ、またこの仕事だけを介して、まだ考えられないでいるものとしてわれわれのもとに到来するものも豊かなのである」。表題作はこのハイデガーの言葉を導きの糸に、フッサールによって「考えられないでしまったこと」―身体的間主観性が立ち現れてくる「理論化以前の構成」の謎めいた領域、後期現象学、とりわけ『イデーン』第2巻の核心に迫る試みである。そのほか「哲学をたたえて」と併読すべき「生成するベルクソン像」、ユニークな哲学史素描「どこにもありどこにもない」を収録。いずれも哲学そのものを主題とした全4篇。
目次
哲学をたたえて
どこにもありどこにもない
哲学者とその影
生成するベルクソン像
著者等紹介
メルロ‐ポンティ[メルロポンティ][Merleau‐Ponty,Maurice]
1908‐1961。1908年フランスに生まれる。1926年エコール・ノルマル・シュペリュール入学。在学中サルトル、ボーヴォワール、レヴィ=ストロースらと知り合う。1930年哲学教授資格試験に合格。その前年にフッサールのソルボンヌ講演を、1935‐39年には高等研究院におけるコジェーヴのヘーゲル講義を聴講。ルーヴィンのフッサール文庫に赴き、遺稿を閲覧したのは1939年。第2次大戦中は従軍・レジスタンス活動を経験した。1945年、学位論文として同年刊の『知覚の現象学』および『行動の構造』(1942)を提出、博士号を受ける。1946年サルトルらとともに「レ・タン・モデルヌ」創刊。1948年リヨン大学教授、1949年パリ大学文学部教授を経て、1952年コレージュ・ド・フランス教授に就任。1961年パリの自宅で執筆中、心臓麻痺のため死去
木田元[キダゲン]
1928年生まれ。1953年東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授
滝浦静雄[タキウラシズオ]
1927年生まれ。1951年東北大学文学部卒業。東北大学名誉教授
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amanon