エイズとその隠喩

エイズとその隠喩

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  • サイズ B6判/ページ数 152p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784622030447
  • NDC分類 934
  • Cコード C1010

内容説明

エイズ、その隠喩もまた〈ひと〉を殺す。現代における最大の脅威=エイズをめぐる神話とイデオロギーを解体し、その本質に迫ったブリリアントな長篇エッセー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

猫丸

15
昨今のcovid-19騒動から真っ先に思い出したのがソンタグの「隠喩としての病」であった。これが室内に見当たらない。どうも実家に置き去りになっているようだ。もう一つあったよなと思い掘り出したのが本作。1990年初版。これら二作は後に合本になったようで、これから読もうとする方はそちらをお勧めします。さて、広く流行することやある程度の致死性をもつことは、病が隠喩的に語られるための十分条件でないばかりか必要条件ですらない。結核・癌・エイズ等がもつ表象化されやすい性質が古来からの認知性向と結んだとき神話は生じる。2020/05/18

huchang

5
コロナが五類となり、職場のピリついたムードも薄れ、書棚をあらためていたら見つけた。「彼らの」病が「我らの」病ともなり、災厄はいつも外からもたらされるなので「彼ら」が原因を作ったことになる過程が、エイズのそれと変わりなかったことに、改めて歴史は繰り返し、人間は歴史を本当には学ばないことを痛感する。最初に病にかかり、被害が猖獗をきわめた人たちが「彼ら」となり、「我ら」に病をもたらした加害者として断罪されることを「我ら」は忘却してはならない。少なくとも今回のコロナ禍、何が起こっていたのかは、忘れないでいたい。2023/12/02

ハンギ

0
原著は1989年出版、日本では1990年出版。エイズについて、エイズは神からの天罰だ、と考える聖職者もいたそうで、まあ大変なレッテルを貼られていたんだなあと思いました。「隠喩として」どのようにエイズは扱われたのか、また扱われうるのかを議論して、エイズへの偏見を浮き出そうとする試み。その結果として、偏見は垢のようにエイズという言葉のイメージから離れていくだろう。なるほどこれが反解釈の試みなのか。ソンタグは癌になったときに初めて患者がこの種の抑圧を受けている事に気がついたそうだ。2013/05/22

azimuth

0
病は隠喩化されることによって歪められているよ、というところまではおもしろかった。エイズそのものの話はちょっとよくわからず。文化闘争の道具としての隠喩化されたエイズとか、癌とエイズには代償となる神話が現れていない、患者を「彼らの一人」に変える病、ってところが特に興味深い。「病気は悲惨の極みであるが、病気のもたらす悲惨の極みは孤独である」2011/01/20

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