内容説明
1870年以後におけるヨーロッパ100年の歴史は、社会・経済・文化・政治の多面にわたって、劇的かつ急激な変化に満たされてきた。しかしこの100年には、全体としてのヨーロッパに共通するある歴史的諸体験が存在し、ヨーロッパの諸発展が非ヨーロッパのそれと大きく異なった時代であった。このヨーロッパに共通する諸体験こそ本書の記述の対象である。現代の主要な政治的教義たる自由主義・帝国主義・ファシズム・社会主義・共産主義などを提起した歴史的に巨大な大衆運動の記述と分析が試みられ、こうした政治的社会的歴史に関連して、この100年の知的芸術的発展の諸相が把握される。それらはヨーロッパ社会の特質やヨーロッパ人の前提に影響しつつ、かつ反映するものであった。こうして、文化史を包括した近代の全体的な通史として、新鮮で独創的、かつ博識でバランスのとれた歴史叙述となっている。
目次
1 新しい勢力均衡
2 社会変動と社会改革
3 社会主義者の挑戦
4 帝国主義
5 自由主義とその敵
6 産業社会とその批判者
7 第一次世界大戦の勃発
8 ヨーロッパの危機1914‐1918
著者等紹介
ジョル,ジェイムズ[ジョル,ジェイムズ][Joll,James]
1918‐1994。イングランドに生まれる。ボルドー大学とオックスフォード大学ニュー・カレッジで教育を受ける。第二次世界大戦のとき、イギリス陸軍の司令部に勤務し、特別作戦に従事(歩兵科)。戦後直ちにニュー・カレッジに復帰し、フェロー兼政治学および現代史の講師となる。1951年、新設のセント・アントニーズ・カレッジのフェロー兼副学長に選ばれる。同時に現代史および政治学の講座を担当。1967年、ロンドン大学のスクール・オブ・エコノミックス・アンド・ポリティカル・サイエンスに招かれ、サー・チャールズ・ウェヴスター(Siu Charles Wevster)、W.N.メドリコット(Medlicott)の後任として、国際関係史の教授(Stevenson Professor of International History)に就任、1981年退職、その間、客員教授として、スタンフォード大学(1958)、ハーバード大学(1962)、東京大学(1964)、プリンストン高等研究所(1953,1971)などから招かれ、1977年以降、ブリティッシュ・アカデミー会員
池田清[イケダキヨシ]
1925年鹿児島県に生まれる。1952年東京大学法学部卒業。現在東北大学名誉教授。専攻、政治外交史
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