出版社内容情報
「生きがいについて」以後の著者が更に思索の根を深め、より具体的な経験に即して語った人間論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
27
【図書館】前書と重複するかもしれないがー結核の診断後、自ら家族への感染を恐れ、一人山荘にて「死への準備ー療養生活」をする神谷の姿がなぜか脳裏に強烈に焼き付けられている。ことばを交わす人はおらず、むしろその極度の孤独感が充実感でもあったという神谷の人間としてのしたたかさか、魂の静けさ。自らの死を宣告されてからの彼女のその孤独な姿と、後に医者になってかららい病患者達の沸き上がる自殺願望が折り合って、色んなことを考えさせられる。神谷の死生観はジャングルのレインツリーから口の中に滴り落ちてくる雨水の味がする。2014/02/18
マウンテンゴリラ
1
著者のことは、氏名以外はほとんど知らなかったが、極最近になって、ライ病患者に寄り添った著名な精神科医であり、美智子皇后の相談相手でもあったということを聞き及び、是非著作にも触れてみたいと感じていた。本書は、私にとっての著者の初作品であるが、まず感銘を受けたのは、その思想内容だけでなく、その背景にある、社会的弱者への思いやりとそれを体現する行動力であった。こう言ってしまえば高みに立った慈善行為のように誤解されるかもしれないが、真摯に向き合い、寄り添う姿勢と言ったらよいだろうか。→(2)2018/06/18