内容説明
あらゆるものごとを平準化する「デジタル化」の中で、人間の身体・脳・心や社会のしくみがいま大きく変容しつつある。「国民の欲望」の自己統治、新たな共同関係の創出、リスクをめぐる正義の対立の調整、人間観・存在観の再構築。これらの課題群に対して、健康とエンハンスメント、脳と人格の改造、動物とロボットの境界、リスク言説と研究規制の根拠等を論じながら、システム倫理学の視点から大胆な解法を提示する。
目次
科学技術の倫理学への導入
予防医学の最高段階としての「先制医療」
新しい健康概念と医療観の転換
スポーツを手がかりに考えるエンハンスメント
モラル・バイオエンハンスメント批判―「モラル向上のために脳に介入すること」をめぐって
反社会性パーソナリティ障害者と自由意志
犯罪者の治療的改造
動物に対するエンハンスメント―その是非をめぐる考察
欲望の中のヒューマノイド
リスクをめぐる対立構図―「リスク論言説」とその批判的検討
「全能性」倫理基準の定義をめぐって―再生医療とくにiPS細胞研究の場合
研究等倫理審査委員会の位置と使命
三つの基本課題に対する理論モデルの提唱
著者等紹介
森下直貴[モリシタナオキ]
浜松医科大学医学部(総合人間科学講座)教授。専門は倫理学、生命倫理学、形而上学、近代日本思想史。1953年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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