シリーズ生命倫理学
終末期医療

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 231p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784621084816
  • NDC分類 490.15
  • Cコード C3347

出版社内容情報

医療に関する様々な専門職業倫理、法規制、医療経済・政策論を解説。高齢化や社会福祉に関する情報だけでなく、遺伝子工学、ナノテクノロジーなどの先端技術に関する情報を収載。

終末期医療の臨床における狭い意味での医療倫理問題だけでなく、死の教育や医療者教育、日本人のスピリチュアリティなど、今後のあるべき終末期医療を考える上で重要な人間の死や死生観をめぐる文化・社会的課題についても広く考察し、終末期医療をめぐる既存の概念や理論を批判的に問い直す。

生命倫理学は1960年代にアメリカで誕生しましたが、それ以来、実践的学問として医学・医療の分野をはじめ、その他の専門分野や、さらには一般社会にいたるまで、多大な影響を与えてきました。本シリーズはそうした歴史的経緯を踏まえ、「医療現場ひいては社会一般に影響を与えると同時に、医療現場などで実際に役に立つ」ということを基本コンセプトにしています。
 本シリーズの企画の背景には、アメリカのEncyclopedia of Bioethics, 3rd Editionの全訳である『生命倫理百科事典』(2007年、丸善、全5巻、計3500頁)があります。この翻訳は、日本の生命倫理学にとって大きな意義をもっただけでなく、医学・医療の分野はもとより、その他の専門分野や一般社会の要請に応えることができたため、高い評価を受けることができました。本シリーズはこの『生命倫理百科事典』の延長線上の企画として位置づけられます。
 本シリーズは、幅広く生命倫理学及び関連分野の研究者や実務家を結集した一大プロジェクトです。40名の編集委員と総勢約240名の執筆者からなり、編集委員には生命倫理学の分野及びその関連分野で活躍している有能な研究者が就任しています。執筆者は、新進気鋭の若手からベテランまで網羅されています。本シリーズはこのような編集委員や執筆者の努力により、東北大震災などの影響によって当初の予定を遅れたものの、きわめて短期間のうちに刊行に漕ぎ着けることができました。もちろん、編集の過程では多少の軋轢も生じましたが、それらも、より良いものを作る上ではむしろ有益なものとなりました。
 本シリーズの読者対象は、1医療関係者(医師、看護師、薬剤師、コメディカルなど)、2介護・福祉関係者、3生命倫理に関心のある人文・社会科学系研究者、法律実務家、学生などです。これらの方々に幅広く読んでいただき、活用していただくことが期待されます。本シリーズは、専門外の人にもわかるように、極力平易に執筆されています。基本事項や概念をわかりやすく説明した上で高度な事項が述べられています。もちろん、本シリーズは現場で役立つことをめざしていますので、具体的な事例なども可能な限り盛り込まれています。

編集委員■安藤泰至 ■高橋 都
第1章 医療にとって「死」とはなにか?
第2章 終末期ケアにおける意思決定プロセス
第3章 終末期医療の現場における意思決定
     ――患者および家族とのかかわりの中で
第4章 高齢者における終末期医療
第5章 小児における終末期医療
第6章 植物状態患者はいかに理解されうるか
     ――看護師の経験から生命倫理の課題を問う
第7章 死にゆく過程をどう生きるか
     ――施設と在宅の二者択一を超えて
第8章「自然な死」という言説の解体
     ――死すべき定めの意味をもとめて
第9章 「死の教育」からの問い
     ――デス・エデュケーションの中の生命倫理学
第10章 終末期医療におけるスピリチュアリティとスピリチュアル・ケア
     ――「日本的スピリチュアリティ」の可能性と限界について
第11章 生、死、ブリコラージュ
     ――緩和ケア病棟で看護師が経験する困難への医療人類学からのアプローチ
第12章 グリーフケアの可能性
     ――医療は遺族のグリーフワークをサポートできるのか
第13章 医師が治らない患者と向き合うとき
     ――「見捨てないこと」の一考察

内容説明

終末期医療の臨床における狭い意味での医療倫理問題だけでなく、死の教育や医療者教育、日本人のスピリチュアリティなど、今後のあるべき終末期医療を考える上で重要な人間の死や死生観をめぐる文化・社会的課題についても広く考察し、終末期医療をめぐる既存の概念や理論を批判的に問い直す。

目次

医療にとって「死」とはなにか?
終末期ケアにおける意思決定プロセス
終末期医療の現場における意思決定―患者および家族とのかかわりの中で
高齢者における終末期医療
小児における終末期医療
植物状態患者はいかに理解されうるか―看護師の経験から生命倫理の課題を問う
死にゆく過程をどう生きるか―施設と在宅の二者択一を超えて
「自然な死」という言説の解体―死すべき定めの意味をもとめて
「死の教育」からの問い―デス・エデュケーションの中の生命倫理学
終末期医療におけるスピリチュアリティとスピリチュアル・ケア―「日本的スピリチュアリティ」の可能性と限界について
生、死、ブリコラージュ―緩和ケア病棟で看護師が経験する困難への医療人類学からのアプローチ
グリーフケアの可能性―医療は遺族のグリーフワークをサポートできるのか
医師が治らない患者と向きあうとき「見捨てないこと」の一考察

著者等紹介

安藤泰至[アンドウヤスノリ]
鳥取大学医学部准教授。1961年生。京都大学大学院文学研究科宗教学専攻博士後期課程2年次単位取得退学

高橋都[タカハシミヤコ]
獨協医科大学医学部公衆衛生学講座准教授。内科医。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。博士(保健学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。