内容説明
(株)島津製作所の田中耕一さんが2002年度ノーベル化学賞を受賞されたことは、“分析化学”に新風をもたらし、いま大きな注目を集めています。本書は、田中さんのような分析化学者たちが私たちのくらしをよりよいものにするために、常日頃試行錯誤を繰り返している研究の実情を失敗や苦労談、ぴかりと光るアイデアや工夫などを分析原理をまじえながら赤裸々に熱く語ったものです。分析化学を担う研究者はもとより、分析化学を初めて紐解く人にとっても、たいへん興味深い現場からのメッセージです。
目次
このうなぎの蒲焼は日本種?―不正取引は許しません
温州ミカンの味の測定も光の時代―近赤外分光法(NIR Spectroscopy)
匂いは、はかれるの?
美しい髪をつくるために
薬は飲んでどうなるの?
シャーロックホームズの世界へ―“化学指紋”のささやき
ポリマーをはかる―プラスチック、ゴム、樹脂…様々な顔をもつポリマーをはかってなんぼ
たかがコンタミ、されどコンタミ―顕微赤外分光による微小異物の分析
目に見えないものをつかむ―材料から発生する目に見えない有機物汚染を調べる
放射線にもいろいろある―放射性核種濃度をはかるには
分析センターはトラブルシューター!?
モレキュラーインプリンティングって何?
質量分析法によるモラル識別―酒石酸アンチモニカルカリウムは不思議な試薬
生体高分子を質量分析法ではかる―ソフトレーザー脱離・飛行時間型・質量分析計の開発まで