内容説明
フランスといえば、パリ、ここでは常に、人々が歩き、出会い、カフェを飲み、語り合うことのできる空間や町並みの美しさが我々を常に魅了する。一方パリを始め、マルセイユ、リヨン、ニース等観光客の集中するこれらの都市は特殊な街であり、むしろ普通のフランス人達の暮らしを人口5000人以下の町、我が国では集落と言った方がよいコミューヌに住む人々が圧倒的に多い。本書は、我が国の10倍以上はあるこれらコミューヌの歴史に培われた形代や自然の景観に溶け込んだ調和ある開発の思想を紹介し、一般のフランス人達の住まいと暮らしを探る。
目次
1 住まいと暮らし
2 町のたたずまいと住宅政策
3 集落―歴史に支えられた景観
4 土地利用―その計画と責任はコミューヌへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
276
3人の著者がそれぞれ分担執筆しているために、テーマが絞り切れず、全体としてはやや散漫な印象をぬぐえない。パリのオルセー駅の再生(美術館として甦った)が語られるかと思えば、カルカソンヌの保全の話もあり、また農村の景観の意義が述べられたりもする。篇中には、手描きの地図や見取り図があったりして著者たちのフランスへの思い入れはよく伝わるのだが、その一方では写真が古く技術的にも上手くない。結局のところ、結論的には古き良きものを守りつつ、新たな景観を作り出そうという、なんだかありきたりの結論に落ち着きそうだ。2023/09/21