内容説明
本書は、筆者がアメリカ大陸の旅で巡り会った様々な風景(ランドスケープ)を通して、読者に「風景を読む」ことの興奮と意義を伝えていく。前半では風景を題材にしたアート、「芸術風景」を紹介し、後半では20世紀アメリカの農耕や科学が描き出した「技術風景」を追いながら、そして、人間と自然の間にたちあらわれる風景を読む鍵を考察していく。
目次
大陸の飛び出した形態―ミニマルアートの風景
大陸に刻まれた形態―アースワークの風景
大陸を覆う幾何学―アメリカ機能農耕の風景
大陸に立ち上がる意志―現代科学技術の風景
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
295
タイトルの「ランドスケープ」は風景の意味なのだが、著者の三谷徹氏がここで取り上げているのは創られた風景である。それは純粋に美術造型的なものから、大農法の畑(日本の風景でいえば富良野や美瑛のような)や、風力発電塔の林立する様なども含んで考えているようだ。いずれも、いかにもアメリカらしくスケールの大きいのが最大の特徴だろう。造型では、ナンシー・ホルトの「サン・トンネルズ」など、見る側の造型的教養とセンスを問われるようなものが多い。これらが、もし廃墟になれば、構成の人たちは誰が何のために、と悩みそうである。 2023/03/26