内容説明
鎌倉以降に製法が断絶した「繊維染緑紙」「紺紙」「荼毘紙」などの復元体験を通じて、気鋭の史家が「王朝の紙」の実像に迫る。
目次
紙の起源をめぐって
紙以前の書写の歴史
紙の誕生が、書の歴史に与えた影響
漢から隋、歴朝の紙
唐の紙
奈良時代以前の紙
奈良時代の紙
平安時代の紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
8
豊富に図版が収録されており、書がご専門の方は涎出ると思います。門外漢の私が見ても、平安期の傑作=五島美術館所蔵の「元永本古今集」は、著者曰く「料紙の美と書の美とが全き意味で互いが主張し合い、かつ共に昇華しあう姿」ほぇーと魂飛びました。半分までは中国で紙がつくられるまでの歴史を追い、もう半分は本朝平安期までの製紙と輸入について。後漢で初めて「紙」を得た東アジアの人間が、単なる記録媒体ではない芸術を産み出していく様が熱く詳細に語られています。古代紙の復元にまでチャレンジする熱量、半端無い。お薦めしたい良著。2018/11/24