出版社内容情報
同じ『芝浜』は一つとしてない。過去の名人から、小三治、志の輔ら現役トップの落語家まで彼らはどう落語を進化させてきたのか。
内容説明
同じ『芝浜』は一つとしてない。志ん生、文楽、圓生ら昭和の名人から、志ん朝、談志、さらには小三治、談春、一之輔など現役トップの落語家まで、彼らはどう演目を分析し、アレンジを加え、ときに解体もしながら、演じてきたのか。演目の進化から落語の“本質”に迫る、画期的落語評論。
目次
第1章 芝浜(耳で聴く文学作品―三木助;ドラマティックな感情の注入―談志 ほか)
第2章 富久(愛すべき幇間―文楽;効果的な第三者目線―志ん生 ほか)
第3章 紺屋高尾と幾代餅(瓶のぞきの後日談―圓生;ロマンティックな恋―談志 ほか)
第4章 文七元結(テキストとしての速記―圓朝;演劇的リアリズムの誕生―圓生 ほか)
著者等紹介
広瀬和生[ヒロセカズオ]
1960年、埼玉県生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長、落語評論家。大学卒業後、レコード会社勤務を経て、1987年に『BURRN!』編集部へ。1993年より同誌編集長を務める。学生時代から寄席通いを続け、ほぼ毎日ナマの高座に接している。近年は落語会のプロデュースも(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
45
落語が好き。と書いても、よく観に行ったのは二ツ目の落語家さんの深夜寄席で、今はTVで演っていたら観る程度。だからこそ、より楽しめた内容だったのかもしれない。演目で気がつかなくても、あらすじを見たらすぐに内容を思い出した。時代と共に落語家さん毎に変化していく演目の内容が詳しく描かれている点が面白かった。噺は生きている。これから、何処かで取り上げられた演目を観る機会があったら、きっと今までと違う意識が出来ると思う。そんな1冊だった。 2017/10/20
kane_katu
6
★★★☆☆落語ファンであれば、古典落語の有名な噺は内容もオチも既に知っている。それでも落語を聴きに行くのは、落語家によって演じ方が違ったり、同じ落語家でも時と場合によってやり方を変えたりするのが面白いからだ。そんな落語ファンの楽しみを文章で解説したのがこの本だ。くどいくらいに細かく書いているので、人によっては嫌になっちゃうだろうけど、私は楽しく読みました。2017/11/28
Mc6ρ助
5
落語を満足に聞いたことがない読者子でも楽しめた。とはいえ、それは邪道、何人もの噺家の噺を聞き比べた人に豊穣な世界が開かれているのだろう。出直してこなきゃ。2018/03/04
はかせ
3
すきだよね。義太夫が。といいそうな内容。特にたくさんきいたであろう生の高座ではなく発売されている音源をもとにされているところに凄みを感じる。文七は脱帽もの。2018/12/11
やまねっと
3
面白い本だった。演者によって噺の筋が一緒でも感じ方と味わいが違うのだ。一人として同じ噺はないのだ。キャリアが長くなることで演者の創意工夫が噺に見えてきて正にエンターテイメントなのだ。 この本では5つの噺を取り上げているが、他の噺でも読んでみたい本だった。速記本と言うべき演者によって違う味わいを味わえる本書は数多く落語を観てきている著者だけが書ける真骨頂といえる内容である。2017/10/15