内容説明
鈴木貫太郎夫人、吉田茂の娘、犬養毅の孫娘…家族、とくに女性の証言からみた知られざる宰相たちの素顔、歴史を変えた決断の瞬間。
目次
犬養毅と“ある歴史の娘”
犬養道子氏の推理―誰が犬養首相を撃てと命じたのか。
テロにあった家族が肩をすくめて生きていく時代
ゾルゲ事件と犬養家―尾崎秀実の「眼」
曾祖父・犬養毅の志を継ぐ緒方貞子氏
東條夫人「あの戦争はタクだけの責任だったのでしょうか」
戦後につくられた東條擁護の構図
東條逮捕の日―カツ夫人の心中
東條の最期を巡る教誨師と遺族との齟齬
東條の息子として戦後を生きるということ〔ほか〕
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
ノンフィクション作家・評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。1939年札幌市生まれ。同志社大学文学部卒。昭和史の実証的研究のため、延べ四千人に聞き書き取材を行い、独力で『昭和史講座』の刊行を続ける。2004年に第五十二回菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じょーもん
1
もっと「私」としての首相(犬養 東條 鈴木 吉田)が描かれているのかと思ったら 結局は「公」の部分で期待外れ。2017/03/07
凡人太郎
1
著者は,昭和史の史実を確かめるために,これまでに何人かの政治家に話を聞き,またその家族にも話を聞いている。 政治家の家族に関しては,取材を通して2つのタイプに大別できたという。 ひとつは,政治家としての歴史的評価や客観的分析とは別に,家庭内の夫や父の姿にとどめる,公と私を明確に区別するタイプ。 もう一つは,公私の区別がついてなく,自分たちの感情と歴史的評価を混ぜあわせにして証言するタイプ。 どちらかと言えば,歴史的に負の評価を受けている政治家の家族は後者の傾向があるという。 犬養毅,東条英機,鈴木貫太郎,2012/09/30
海
1
出てくる宰相は犬養毅、東条英機、鈴木貫太郎、吉田茂。ページ数のわりにすぐに読めてしまった。夢中になったからではなく、この人の本にしては内容が薄くて読むこむ必要がなかったから。うーん、とにかくタイトルを消化しきれていない感じ。著者のいつもの自分の推理が目立って、肝心の宰相の内輪話があまりないのが残念。2011/11/20
takuya
0
☆4 おもしろかった。 【備忘録】①犬養毅は孫文の支援者。犬養のひ孫が緒方貞子(緒方竹虎の息子と結婚)②吉田茂(嫁は大久保利通の孫、牧野 伸顕の娘)の娘の旦那が麻生太賀吉。麻生鉱業③中国国民党ー 中華民国(台湾)における主要政党の一つ、、現在は政権与党。反共・民族主義2012/03/18
鹿之介
0
せっかく多くの人に取材してるのに結局自分の説に全てを牽強附会につなげていく。例えば本書では、東條英機の夫人が「主人をいつか陸軍大臣にしてみせる」と言ったとされてることを否定されたのに、「結婚してから忙しくなって女子大に通えなくなった」という発言から、「カツ夫人は人生の目標を主人の栄達に置くことにしたのだと思う」と書く。四名の宰相についてのイメージは本書を読んでも一般的なものから変わることはなかった。吉田茂に関しても講和条約の締結後の独裁は批判するが戦前満洲で強硬派だったことには触れない。2020/07/07