内容説明
この世の日々や本のこと。感覚と認識を一粒ずつ繋いでいく、注目の詩人・作家の最新「文」集(2006‐2008)。
目次
眼鏡
巻いてみる
冬空紀行
文字の居留守
ご注意ください
首相
牛とともに
鰓の不安
案山子は何でも知っている
ぬれねずみ〔ほか〕
著者等紹介
蜂飼耳[ハチカイミミ]
1974年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。詩集に『いまにもうるおっていく陣地』(紫陽社、第五回中原中也賞受賞)、『食うものは食われる夜』(思潮社、第五六回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凛
17
「空席日誌」に引き続き蜂飼耳2冊目。空席〜に充満する研ぎ澄まされた狂気は練り込まれたものだったんだと安心半分・落胆半分。ゆるゆると書かれる日常や絵や本に関するエッセイは透明感溢れる視点で心地良い。書評が、文の引用が上手。読みたい本がまた沢山増えてしまった。「小説の中の意味は要約できるようなものではないし、もし意味があるとすれば、知的事実というより、ほとんど肉体的事実として、それはそこにあるわけ。/フラナリー・オコナー(手紙の声は近い)」2014/07/06
メタボン
14
☆☆☆☆ 熱で朦朧としている中読了。もともと蜂飼耳の文章は繊細で曖昧模糊としたところがあるので、何だか不思議な読書体験となった。冬空紀行が一番良かった。2019/01/03
THE WATERY
9
やっぱり本棚から抜かないとね。。「人との出会いが限られているように,一生のあいだに読める本の数にも限りがある。それを思えば,一冊一冊がかげがえのない世界だ」。2010/10/27
Roy
9
★★★★+ 良かった。蜂飼耳の日々のこと、本のこと、絵の事、作品のこと。彼女の詩集同様にどきりとする事が往々にしてある。特に本の紹介などで引用する箇所が絶妙に美しく良い。2008/11/29
guu
8
エッセイ&書評集。本業の詩集には未だ触れずじまいだけど、書きもののジャンルを超えたその磨き抜かれた感性に再び出会え至福の時を過ごせました。何気ない日々の一瞬を言葉にしたい時、上手く表現出来ないことって往往にしてあるけれど、蜂飼さんはそこらへんを実に的確な言葉の造形美として放っている。それはもう丸ごと一冊お手本にしたいくらいに。また書評にしても書き手の背景はもちろんのこと、誰もが見過ごしてしまいそうな長所をさらりと掬い取るその確かな目に、紹介本全部を手に取ってみたくなる、といった具合に。2010/08/22