自分自身への審問

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 189p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784620317557
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

脳出血、癌…ある日突然、二重の災厄に襲われたらどうする?!突き上げる衝迫のなか、死に身で書き抜いた生と死、現世への異議、そして自分への「有罪宣告」。

目次

第1章 死、記憶、恥辱の彼方へ(記憶を失うこと;自己身体として生きる ほか)
第2章 狂想モノローグ―「かさねてきた徒労のかずをかぞえるな」
第3章 人の座標はどのように変わったか(風景の耐えられない軽さ;万物商品化と物語の喪失 ほか)
第4章 視えない風景のなかへ(「言葉と言葉の間に屍がある」―沼沢均を偲ぶ会へのメッセージ;『自動起床装置』の想い出 ほか)
第5章 自分自身への審問

著者等紹介

辺見庸[ヘンミヨウ]
1944年宮城県石巻市生まれ。早稲田大学文学部卒業。70年、共同通信社入社。北京特派員、ハノイ支局長、編集委員などを経て、96年退社。この間、78年、中国報道で日本新聞協会賞、91年、小説『自動起床装置』(文藝春秋刊、文春文庫、新風舎文庫)で芥川賞、94年、『ものを食う人びと』(共同通信刊、角川文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

96
読友さんのレビューに誘われて初・辺見庸。噛み砕いても噛み砕いても尚残るこの心のざらつきを表わす言葉を私はいまだ持ってはいないのが悔しい。凄い作品とめぐり合わせてくれた某氏を恨みたい(笑)特に第五章が凄い。このような『死』と向かい合う状況の中でも、パソコンのキーボード一文字づつでもこの人は『書かずに』『残さずに』いられなかったのだろう。辺見庸、の叫びが私に重く鋭く哀しく突き刺さって読了した。2016/03/05

がま

2
社会に慷慨し、他人の不幸に対し鈍感な人間に憤激し、なによりも恥辱に塗れた自分自身に激昂する。世界のあらゆる事象に対して怒りを噴出し続ける著者は、ある日、脳出血に倒れ、半身麻痺の後遺症を患い、さらに悪性腫瘍が発覚する。癌の手術前、ベッドの上で自分自身への審問を行った著者は、自らに有罪判決を下す。罪名は、「底方における不実の罪」。暗く、グロテスクな懊悩を吐露する著者に、どこか仄かな共鳴を感じる。2015/06/14

aya-panta

2
脳出血と癌に立て続けに襲われた著者が、死を間近に感じながら様々な問いかけをし答えを紡ぎだしている。『もの食う人びと』を読んでから、気になっては時折著書を読んできて、いつも外へ向けて、私が気付くこともないような観点から「これはおかしくないか?」と訴えている人だな、と思っていた。この作品では徹底的に「自分は」を問うているのだけど、そこでも「そうか、そういうふうに自分を見るのか」と、こちらを考え込ませてしまう力があって、やっぱり辺見庸ってなんか凄い。課せられたものだとして(も)、生きていてください。2013/11/29

rakim

2
何時も警鐘を鳴らしまくっているヒトという印象でした。言いたいことはわかるけど・・・、の「・・・」の部分で反発も感じていました。病に倒れられた後の著作の再読。彼は依然鐘を鳴らし続けていらっしゃる。でもその音色が尼僧の鐘のようで、真摯に聴きとらなくてはならぬと今度は思うのです。逆側に立つ経験を得た者だけが持つ青い炎の熱さが伝わってきます。鐘の音に少しでも耳を傾ければそこに断固たる覚悟もできる。覚悟のできる人が多くなれば「見分け」がつけられるような社会が出来るかもしれない。巻尾の「審問」に溜息。2010/06/20

どさんこ

1
辺見庸は常に自分に対して問いを発している。そして、死の淵を覗いてもなお、自分自身を裁こうとしている。苦しすぎやしませんか。そういう俺は自分に対してどこまで甘いんだと思い、情けないやら悲しいやら。2016/08/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/455789
  • ご注意事項