内容説明
「男の本分は仕事」。それは幸せな人生ですか?歳月を経て、夫婦がたどり着いた場所。働くとは。結婚とは。幸福とは。直木賞作家が描き出す、激動する時代の「家族」の物語。
著者等紹介
篠田節子[シノダセツコ]
1955年、東京都生まれ。東京学芸大卒。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。97年『ゴサインタン―神の座』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、2011年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
93
紆余曲折、まさにこの四字熟語がピタリとはまるような人生を歩む主人公高澤とその妻だった由貴子。ニューヨークで飛び回るエリートサラリーマンの高澤だったがある日突然由貴子は息子の翔を連れて日本に帰ってしまう。義父義母の罵声を浴びながら離婚。証券会社破綻。残務整理と清算業務の末の帰国。やっと見つけた再就職先、誰もが知るアメリカ同時多発テロで崩壊したビル……ただ、一生懸命に仕事と向かい合い、必死で家族を養ってきたと思っていても、それは独りよがりだったりする。わかり合うためには時間もかかる。わかり合えたら上等。2023/08/21
tama
74
図書館本 やたらと「展開が早い」作品。読み終わって感じたのは、①主人公が駆け抜けたあとには死屍累々。多くの登場人物がちょっと出てはすぐに消えの感じ。確かに私自身も現実ではそういう生き方したけど、文学がこれでいいのか!?最初にこれを読んでたら篠田さんにここまでハマらなかったかも。②一番重いのは近親の高齢者。切るに切れず、死ぬまで(下手すると死んでも)みっちりとまとわる。まいったねぇ。2013/12/09
いつでも母さん
67
装丁に魅かれ・・面白く読了した。えっ離婚?リストラに再就職?これで『銀婚式』?とページを捲る捲る。舞台が大学に移ってからは、どんな世界も人間関係は面白いなぁと。後半、元妻とその実家とのかかわり方が絶妙だが、実際は「無い・ない」と言ってる私。介護問題を入れてるあたりは妙にリアルだった。息子との絡みもこれって『理想』だし、息子の結婚での元妻の思いは(って云うかこの元妻、理解出来ない)イヤだったなぁ。最後になってやっとタイトルが(笑)数年前に『銀婚式』を越えた我が夫婦とはかなり違う一組の男女の話であった。2015/03/26
barabara
67
とても読みやすく、さらりと一人の男の半生を書き切ったという感じ。ただ、本人の人生の後半、仕事運が思いがけず右肩上がりで、少し馴染めなかった。介護や子供の成長に伴うあれこれも大変だが、本人が経済的に困っている様子がないのが、ストーリーのバランスの均衡を危うくしてるのかも。最期はタイトル通りだが、何だったんだ?と拍子抜けした。2012/01/22
kaizen@名古屋de朝活読書会
59
証券、損保、大学と仕事を渡り歩いた人間の人生記のようなもの。 銀婚式を迎える年に息子の結婚式がある。 結婚、倒産、介護など社会問題をさらりと書き下している。 人生の機微を表現できる数少ない作家かもしれない。 参考文献が豊富だ。私学について参考文献がないのは、 子供が行っているのか、著者が講義をしえちるためだろうか。2013/04/10