内容説明
世界恐慌にピークオイルショックが重なり、不安が蔓延する2014年の日本。テレビ制作会社でディレクターとして働くロスジェネ世代の伊沢は、通り魔殺人のニュースを見た直後、集合無意識研究所の加藤という男から「事件は虐殺の予兆です」との電話を受ける…。感染する恐怖と憎悪、高まるセキュリティ意識、煽るメディア―僕らの集団暴走=スタンピードはもう止められない。2014年、東京。大虐殺が勃発する。「放送禁止歌」「A」「死刑」の森達也が予見する戦慄の近未来。
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
1956年広島県呉市生まれ。映画監督、作家。1998年、自主制作ドキュメンタリー映画『A』を発表。2001年、続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭にて審査員特別賞、市民賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keiniku
6
森達也監督の「小説」森監督の他の本にある考え方が散りばめられていて、個人的には純粋に小説としては読みにくいが、この中で「蝿の王」が出てくるようにこれも「寓話」なのだろう。 2008年に出版され2014の「極近未来」が描かれているのだが、実はこれ、もう現実になっているのではないだろうか。「ジェノサイド」にはなっていないが、現在ネットの中には敵を見付けるために徘徊する人が数多くいて自分の大義を振りかざして叩きまくる。いくら甘いと言われようとも、人間性と愛を理想として生きていく事を選んでいきたい。2018/11/01
のうみそしる
3
森達也氏の主張をそのまんま小説にしたようです。これで小説好きにも現状の危うさをアピールできるという意味では、大変すばらしい作品。しかし、内容としてはちょっとこなれてない感じ。人々がおかしくなっちゃう過程は緊迫感があって面白かったけど。なんでクレイジーキャッツにしたん?2015/03/08
りゅか
3
ラストに向かっていくにつれて、概念の説明が多くなり、何回か寝落ちしました(笑)。「個人の性質とは別に、群衆に紛れ、それが正義なのだと思い込むと、人間はどんなに酷いことも正義の名のもとにやってしまうよ」という内容・・・かな。2013/02/22
ぷぅ
3
森氏の本を何冊か読んだ人にはおなじみの内容。テーマとしては面白く納得もできるけれど、小説でなくても良かったのでは?せっかくフィクションとして描いているのに活かし切れてないように思いました。2009/03/22
寝る子は育つ
2
かつて「A」を愉しく読ませてもらったのを思い出します。さすがに小説となるとそうもいかない・・・といったところでしょうか。 書かれたときは近未来的なお話しだったようですが、今がほぼその年というのがその一番の理由なのかもしれません。ちょっと冷めた目で読んでしまいました。 結局読み手の僕の問題ですね^^;2015/01/24