出版社内容情報
「人間は何かを抱きしめていないと生きていけない。マミさん、そういうことですね --スタジオジブリ 鈴木敏夫」
ある偶然が引き起こした痛ましい死亡事故。
突然の悲劇に翻弄される人間模様を、映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』でその才能を高く評価された著者が、独自の視点から描きだした五篇の連作短編集。生の不確かさ、苦しみ、それ故の煌きを、日常の平穏から深く抉りだす驚きの筆力。映画だけにとどまらない才能を、ぜひその目でお確かめください。
・夏、千恵子の物語
・秋、吉乃の物語
・冬、健二の物語
・春、美里の物語
・春、浩一の物語
内容説明
ある偶然が引き起こした、痛ましい死亡事故。突然の悲劇に翻弄される人間模様を、映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』の監督が独自の視点から描き出した連作短編集。
著者等紹介
砂田麻美[スナダマミ]
1978年、東京生まれ。映画監督。初監督作品の『エンディングノート』で日本映画監督協会新人賞等、数々の賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
140
作者は映画監督とか。少年の交通事故死から始まり映画のシーンが転換するような5編からなる連作。この作品は難しい・・タイトルと写真に惑わされ好みが分かれるかもしれないなぁ。最後の浩一の物語が苦しいがこれで結ぶ為に他の4章があったのかと思わせる。少年は事故で亡くなった。それでも世の中は回って、人の心も状況も日々移ろうのだ。亡くなった少年・俊が事故直後に吹いた笛の音が、音にならない音だけが読了後の私の心に聞こえた気がした。2016/05/27
takaC
112
読みたい本に追加した経緯を忘れてしまったが図書館本の予約順が回ってきたので読んだ。残念ながら自分には世間でもてはやされているほどには良さを感じ取れなかった。2016/07/26
chimako
110
ほんの一瞬の隙が人を悲しみのどん底に突き落とし、悔やんでも悔みきれない後悔の淵に立たす。戻れるものならばその時に戻りたいと誰もが願い、しかしその願いは決して叶えられず、それでも日々は過ぎて行く。これは交通事故を起こした夫婦とその被害者。彼らの周りの人たちの心の機微を描いた連作集。「一瞬の雲の切れ間」に日が射すように、暖かな風が吹くように、彼らの気持ちにもやがて微かな明るさが戻ってくればいい。最期の瞬間まで生きようと笛を手にとり、苦しい息の中で音を出そうとした少年を見習って。良くできた物語だった。2016/06/08
ちょき
97
小説版人間交差点といった感じ。一つの交通事故から始まる人間模様をそれぞれの視点で叙情的に編み上げてある。作家自身、構成作家さんらしくいかにも映像が流れてるごとく展開されており、うまいなと感じた。文章は平易で流し読みでもすっと入って来る感じ。5編のストーリーだが、ただ一つだけ指摘するならば登場人物がほぼ全員だいたい同じ性格ということか。なんか文章が上手い人がちょいちょいって狙って書いたような感じがするのは私が単にひねくれているからです。2016/05/29
モルク
94
交通事故により小学生の男児が死亡する。その事故をきっかけとして変化していく男女5人の連作短編集。最後の話の人物はどういう関わりなんだろうって思ったけど、なるほど、この題名は彼の言葉が由来しているのか。文章としてより、映像化の方が伝わりやすいと思うし、おもしろいかも。2019/02/28