内容説明
「どうせ私なんかどうなったっていいんです」「死んだっていい人間は沢山あると思います」温泉場の別荘に雇われた「お夏」の率直な言葉に療養中の孤独な「私」は心動かされる。死を予感する者との不思議な結縁を描いた川端康成の『白い満月』。ふと顔をあげると壁に見慣れぬ染みが―。ささいな視覚の刺激が解き放つ想像力の奔流(ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』)。夜の散歩者が幻のような物語を回想する尾崎翠の『途上にて』。詩的な直感に満ちた幻視的世界。
著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899‐1972。大阪生まれ。1924年に横光利一らと「文芸時代」を創刊、新感覚派と呼ばれて文学界の一大勢力となる。『伊豆の踊子』『山の音』『雪国』など日本人の心のエッセンスを伝える作品を多数残した。68年に日本人初のノーベル文学賞を受賞
ウルフ,ヴァージニア[ウルフ,ヴァージニア][Woolf,Virginia]
1882‐1941。20世紀を代表するイギリスの女性作家、フェミニスト。文芸批評家の父を持ち、1915年に『船出』でデビュー。『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』など、人間心理を巧みに描き出した作品を発表。日記や評論も数多く残している。生涯にわたって神経症に悩まされ、41年に自殺
尾崎翠[オザキミドリ]
1896‐1971。鳥取県生まれ。代用教員時代に雑誌で入選の常連となる。上京して文学に専念、『第七官界彷徨』などで注目を集めたが、幻覚症状がはげしくなり帰郷。以後は文学から遠ざかった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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