弟を殺した彼と、僕。

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  • サイズ B6判/ページ数 265p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591082355
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「半田保険金殺人事件」で弟を殺害された著者が、加害者との対話を通して、「罪と罰」の意味を問い直す、渾身のノンフィクション。

内容説明

「半田保険金殺人事件」で弟を殺された著者が、彷徨する魂の救済を綴った壮大なノンフィクション!苦悩する魂にあふれる愛と涙。真夏の拘置所。アクリル板を挟んで向き合った加害者と、被害者の兄。10年ぶりの邂逅は、さまよう二つの魂に“光”を投げかけた…。

目次

プロローグ 僕が長谷川君と呼ぶ男
第1章 弟の死
第2章 憎しみの日々
第3章 「思い」は静かに発酵する
第4章 面会
第5章 生きていく意味
第6章 執行の後で
エピローグ 被害者の救済と支援

著者等紹介

原田正治[ハラダマサハル]
1947年、愛知県で生まれる。1983年、「半田保険金殺人事件」で末弟を殺害される。事件後十年目、加害者である長谷川死刑囚と、被害者遺族として異例の面会に臨む。以後、彼の死刑停止および彼との面会継続を求める活動を開始。現在は死刑制度に深い関心を寄せながら、犯罪被害者の救済支援および確定死刑囚との面会の自由を主張し、講演活動などを行っている

前川ヨウ[マエカワヨウ]
1966年、金沢市生まれ。東京大学文学部東洋史専修課程卒。銀行勤務、専業主婦を経て執筆活動に入る
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

26
死刑に反対か賛成かは答えられない。自分が被害者遺族になってみないとわからない。著者のような反対派の遺族もいれば、光市母子殺害事件の遺族のように死刑を強く望む遺族もいるから。著者の想像する「崖の下に突き落とされた」とするイメージは、すごくわかりやすかった。わたしたち傍観者は、崖の下に落ちた遺族を助けることもなく、ただ加害者に極刑を!と騒いでいるだけなのだ。2015/06/08

とうゆ

22
○殺人事件の遺族が、加害者の死刑を反対する。俄かには信じがたい話かもしれないが、これは実際に起こったことだ。被害者の兄である原田正治さんは、加害者と面会し、事件に向き合うために、死刑に反対した。だが、その訴えは聞き入れられず、加害者は極刑に処された。原田さん本人の手で誠実に記されたこの物語は、深く、重い。ぜひ一度読んでほしい、この本は決して私たちに無関係ではないのだから。2015/06/25

たぬ

18
☆4 5日前に読了した福田ますみ『されど我、処刑を望まず』を受けてのチョイス。保険金殺人の被害者の実兄である著者。実に自分の気持ちに正直に思いを綴っている。法的にも世間的にも被害者遺族は置いてけぼりの現状に憤る。処刑すれば遺族は満足する、そんな単純なものじゃない。きれいごともかっこつけもない、法知識のない一般市民目線だからこそ心に響く。2020/11/30

ヒロくま

17
ある日突然とんでもない理不尽に人生を揺るがされる。本書の作者が直面した事件は、殺された弟だけでなく、被害者、加害者の関係者もろとも、飲み込んで行ってしまう。長い時間をかけて作者が行きついた先は死刑制度のありかた(死んで詫びる)か(生きて償う)か、とてもとても難しい。2014/10/03

Ayumi Katayama

13
次の文章を初めて読んだのは、かれこれ1年も前だろうか。森達也氏がその著書『死刑』で引用されていたのを読んだ時だったかと思う。その時、私は、次の文章の意味するところがわからなかった。『崖の上にいる人たちは誰一人として「おーい、いまあげてやるぞー。」とは言ってくれません。代わりに「おまえのいる崖の下に、こいつらも落としてやるからなー。それで気がすむだろう。」被害者と加害者をともに崖の下に放り出して、崖の上では、何もなかったように、平和な時が流れているのです。』2018/01/27

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