出版社内容情報
父の命を奪った、巨大な魚を追うため漁師になった青年が、海の中で見たものは - - - 。海のもつ豊かさを、感動的に描いた作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
105
文章は小学六年生の国語に採用されている。太一の父親は村一番の漁師だったが巨大なクエと格闘し亡くなった。与吉じいさんの弟子となった太一。漁師として成長するが、与吉は床で亡くなる。主のクエを見つけるが…。太一の行動に張理由が?今の小6はこの作品を読み、何をどう解釈するのか?文章を読む意味。大きな海といえども資源は限られている。「千匹に一匹」獲れればいいという考え。これは共生を示している?クエと与吉は同一?クエは自分の運命を知っていた?大人が読んでも議論になる部分が多い。絵本では伊勢英子の絵もポイント高い。2019/06/20
kanegon69@凍結中
92
憧れた海で父を失った少年、でも漁師になりたくて、おじいさんに弟子入りする。やがて少年は青年となり、村一番の漁師に。おじいさんとの別れの場面、百五十キロもある大魚との対面、葛藤、そして彼なりに腹落ちする様子に惹かれました。そして伊勢さんの絵。ド迫力の重厚感とエネルギーをものすごく感じるんですよね。夕焼けの海の景色、父が漁に出ている場面、太一がもぐりながら水面を見上げている場面、そして最後の絵が一番好きですね。太一が大魚をとらずに水面へ戻っていく場面。鮮やかで強烈なエネルギーを感じます。素晴らしい作品でした!2019/11/24
bunmei
88
海のように、とっても深い話。これが6年生の国語の教科書に掲載されているのですね。なかなか立松さんが意図した内容を深く掘り下げるのには、6年生にとっては難しいかもしれませんが・・・。泣きそうになりながらも、ふっとほほえんだ太一の心の葛藤。大魚は、亡くなった父の敵でもあるのに、向き合った瞬間に、「命とは何か」を改めて自分に問い直し、銛を引っ込める太一。太一が、命の大切さや重さを感じ取り、村一番の漁師としての誇りや人としての逞しい成長を感じ取れた一冊でした。2018/11/26
モリー
69
里育ちの私には、人が死ぬと魂は山に帰るものという観念があります。しかし、海育ちの方にはとっては、命は海に帰るべきものなのかもしれません。豊かな海に育まれた命を頂いて生をつないでいる私たちは、海に生きる全ての命と一対一で向き合うべきではないかと感じました。この絵本を読んでそう感じたのは私だけでしょうか。「はじめてもぐった海の天井は、風をはらんだ天幕のように光をためこんでいた。」とは絵を描いた伊勢英子さんの言葉です。伊勢さんの感動が伝わる素晴らしい絵も堪能しました。2020/05/30
けんとまん1007
67
海。母なる海。命を育む海。海に育てられる人間。海に畏敬の念を持って暮らすこと。そんなことを思う。それらを、素晴らしいタッチで描く伊勢さんの絵の素晴らしさ。惹き込まれる。2020/08/23