出版社内容情報
高度経済成長末期以降,急速に失われた看取りの文化を,地主や開業医の日記,小説・病院資料を通して明らかにしつつ,よりよく生きるために,その復権を提唱する。
内容説明
高度経済成長末期以降、病院死の増加にともなって、死亡後の処置を含めた看取りの技術や知識は、家庭からも地域からも急速に忘れ去られていった。多くの人びとが、住み慣れた自宅での死を望みながら、やむをえず病院で死を迎えている。本書は、近代日本における看取りの文化と地域医療の実態を、地主・開業医・巡査の日記や小説・病院資料を通して明らかにし、「遠ざかる死」の時代にあって、死を見つめ、考えることが生を豊かにするという観点から「看取りの復権」を提唱する。
目次
第1部 看取りの文化(遠ざかる死;地主の日記にみる死の看取り;近代の医師;伝統医療のゆくえ;都市近郊農村における地主と開業医;病院医療の夜明け;派出看護婦の雇用;看取りにおける終末期の認識とケア;死後の処置;変革期にある現代医療;告知の歴史)
第2部 看病を職業とした人びとの系譜(看護と介護;病院と看護人;小石川養生所の看病人;長崎養生所の看病人;病院の「看頭」;看病・看護・介抱・付添いの関係方式;死を前にした尾崎紅葉の心の揺れ)
著者等紹介
新村拓[シンムラタク]
1946年静岡県生。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(早大)。専攻は日本医療社会史。公立高校教諭、京都府立医科大学医学部教授を経て、北里大学教授、副学長。著書に『古代医療官人制の研究』(1983年)、『日本医療社会史の研究』(85年)、『死と病と看護の社会史』(89年)、『老いと看取りの社会史』(91年)―以上の4書にてサントリー学芸賞を受賞(92年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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