出版社内容情報
モチイネの栽培・育種から食品加工,民俗,儀礼にわたってそのルーツと伝承の足跡をたどり,アジア稲作文化という広範な視野からこの特異な食文化の謎を解明する。
内容説明
正月の餅はどこから来たのか?ハレの日の食物として日本人に特別の意味をもつ「もち」をめぐって、モチイネの栽培から食品加工、民俗、儀礼にわたってそのルーツを探り、アジア稲作文化の視点からこの特異な食文化の謎を解く。
目次
序章 糯と餅―農学とフォークロアの接点
1 モチ性とモチ澱粉
2 モチ性の穀類
3 日本のモチイネ―渡来から現代まで
4 アジア各地のモチイネ栽培
5 モチイネ栽培圏の分布と成立
6 中国西南部におけるモチ米食品の伝承と現状
7 韓国のモチ米食品、日本との同質と異質
8 東南アジア、モチ米主食圏の核地域と周縁
9 日本の餅の歴史と伝承
10 節供にみる餅
11 歳事と人生の餅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
16
餅の歴史や民俗についての集大成な本。やっぱり餅について文字として残っているのは風土記の頃のよう。ただ神饌として、普通の生米を砕きまとめ餅のようにして捧げた「しとぎ」という風習が古くからあり、「米餅搗太子主命」という人が応神天皇(200~310)(…年号に突っ込んではいけない)の頃、餅を献上してこの名を賜ったとのこと。米餅でしとぎとよみ、たがねと読むそうなので、卑弥呼は餅食べてたんだろうなあ…。2015/05/10
Carol
1
この間、目の前で搗いてもらったお餅を食べた時にふと「あれ?他の国って餅米を使った食べ物はあるけれど、日本みたいに蒸した餅米を杵と臼で搗いた食べ物って見たことないな」と思い、日本の餅搗きがなぜ始まったのか知りたくて読んでみた。アジアの色々な国に餅米文化があり、色々な食べ方があること、日本では弥生時代から祭祀に米が使われていて餅も祭祀に使われるものだったこと、室町江戸あたりで一般的な食べ物になったことはわかったけれど、なんで蒸した米を搗くという形が始まり、それが今も続いているのかはわからなかった。謎だ。2024/01/28
とわかだよ~
0
1章で化学的性質。後はもち米文化圏の代表的な国ごとにもち米をどう利用しているか、韓国・日本ではもっと詳しく米と関わる年中行事や通過儀礼を紹介。農民がどんな生活をして、何にどう感謝していたのかの文化的背景を推測でいるのは楽しいし、とても参考になる。けれど、食品やレシピはビジュアルガイドと相性がいいので、それを学者特有のオール文章でやるとわかりづらいことこの上ない。実際、説明順も作者が脳内把握しきれてないような重複してる部分あるし。各地や食品の写真をふんだんに使って文化的背景の推測までいけば名著なのに…2016/12/01
草津仁秋斗
0
もちについて、糯米と粳米の違いから、世界各国での糯米の受容の仕方まで、様々なことに触れた本。総合力にもちを知りたい人にオススメ。2014/08/21