出版社内容情報
具体的な治療例の考察を通して,日本的とされてきた心理特性に普遍的な要素を見出して精神構造論に位置づける。土居健郎『甘えの構造』に代表される理論への批判。
内容説明
もっぱら西欧の「個」の概念およびその文化的伝統との単純な対比で論じられてきた日本的心性を、具体的な精神療法の臨床観察を通して、より普遍的な視点からとらえ直した労作。土居健郎『甘えの構造』をはじめとする日本人論を批判しつつ乗り越え、日本人の依存と自立にかかわる無意識的葛藤を「清明心」と「型」をキーワードに解明する。
目次
1 精神療法と文化論
2 「依存/自立」の三領域
3 依存と自立の諸相をめぐるダイナミズム(日本的特異性と普遍性)
4 「依存/自立」のダイナミズムを発動化させる原理―「型」
5 結語「清明心」と「型」のダイナミズム
著者等紹介
長山恵一[ナガヤマケイイチ]
1951年、群馬県に生まれ。鳥取大学医学部卒業。東京慈恵医科大学大学院博士課程精神医学専攻修了。医学博士。法政大学文学部助教授・教授を経て、現在、法政大学現代福祉部教授。著書に『森田療法の研究―新たな展開をめざして』(金剛出版、共著)、『心理療法の本質―内観療法を考える』(日本評論社、共著)がある
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